戦争は嫌だ。これが市民の素直な気持ちであることを、小泉首相や改憲派はどう考える。
2005年10月21日9:00AM|カテゴリー:一筆不乱|北村 肇
下町の私鉄で、こんな親子の対話を聞いた。
「お前の一番、嫌いなものは何だ」
「戦争」
「うん、戦争はみんな嫌だよなあ」
「じゃあ、どうしてアメリカは戦争するの」
「アメリカは自分の国では戦争しないんだ」
「ずるいね」
「よその国に攻めていって戦争するんだからなあ」
「やっぱりアメリカはずるいよ。嫌いだ」
二人は最初、運動会の話しをしていた。小学校3、4年生と思われる男の子が、自分たちのクラスがクラス対抗戦で勝ったことを自慢して、とうとうとしゃべる。そのうち、「お父さんは運動会が好きだった?」に始まり、次々と質問を投げかける。
うるさがる風情もなく聞いていた父親が、ふっと子どもに尋ねたのが冒頭の「お前の一番、嫌いなものは何だ」だった。
「アメリカは嫌い」と言い放った子どもは、すぐに次の質問に移った。
「アメリカにはディズニーランドがあるの?」
お父さんは変わらない様子で、「アメリカには二つディズニーランドがあって」とやさしく解説した。男の子はじっと聞いていた。
この子の学校は先生がしっかりしているのだろう。普段から戦争や平和の意味を教えているのに違いない。およそエリートくさくなく、説教じみた言い方をしない父親もまた、子どもの信頼をつかんでいる。
どこか頭の上のほうで「改憲、改憲」と叫んでいる国会議員や学者は、何が何でもと靖国参拝を強行した小泉首相は、市民が何を思い、何を求めているのか、考えたことがあるのだろうか。考えようとしたことはあるのだろうか。
小泉首相、改憲派のみなさん、たまには下町散策でもどうですか。(北村肇)