編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

「異物」を受け入れるのか、排除するのかも、参院選の争点だ

 気がついたら、水道水を飲まなくなっていた。健康に悪そうなだけではなく、そもそもまずい。といって、ペットボトルの水がおいしいかといえば、むろん、そんなことはない。まさに「味も素っ気もない」しろものだ。都心を離れて味わう、井戸や清流の水が持つ独特の存在感はかけらもない。

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参院選の争点から「憲法」が抜け落ちる悲喜劇

 悲劇はときに喜劇と化す。死に瀕した病人が、膝をすりむいたと大騒ぎをすれば、周りの者に複雑な乾いた笑いをもたらす。その情景がドラマ化された場合、観客の私はさらに皮肉な笑いを浮かべ、生きることの悲しさを一粒一粒、味わっては飲み下す。いつだって私も病人であり、傍観者であり観客だから。

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自衛隊の国民監視活動がはらむ大いなる矛盾

 自衛隊が国民監視活動をしていた。この事実を知ったとき、不快感や危機感とともに、「内部告発者」に思いを寄せた。「矛盾」に絶えきれなくなったのではないかと想像したのだ。違憲か合憲かはとりあえず脇に置いたとして、自衛隊は「国民」を守るのが仕事だ。だが、かような監視活動は明らかに任務に反する。

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松岡前農水相の「命」を救えなかった安倍政権の末期

 幾度となく「自殺」の取材をしてきた。記憶から消えないのは、ある殺人事件にからみ、容疑者の兄が線路に飛び込んだ事例だ。連日、紙面を賑わす大騒動の中、どこの新聞社も、この兄の談話をとろうと躍起だった。だが、何度訪ねても、返事すらなかった。それが、あるとき、戸をたたくと、本人が出てきた。

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倫理観の欠如が、クスリのリスクを高める

 市販薬は、それが風邪薬だろうが胃腸薬だろうが、例外なく説明書がついている。そしてまた、例外なく小さな文字で書いてある。特に注意事項は、この歳になると、虫眼鏡をサービスにつけろと言いたくなるほど読みにくい。服用による事故を防ぐためには欠かせない情報なのに、「なるべく読んでほしくない」との意図が露骨に表れているようで腹立たしい。

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