編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

戦争で利益をあげる人は、「他国から攻められたらどうする」と騒いでみせる

 チェルノブイリ事故直後、東京でサミットが開かれた。その取材過程で、複数の識者から同じ見解を聞いた。「この事故で、20世紀型の国家間戦争は無くなる」。原発がある限り、核兵器はなくとも、通常兵器の使用で世界は滅亡する――冷厳な現実を前に、各国首脳は「冷戦構造の終わり」を悟ったことだろう。

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新しい「テロ特措法」も、米国に対する「思いやり」法にすぎない

「平成13年9月11日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法」。これが、いわゆる「テロ特措法」の正式名称だ。百字以上ある。

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振り子は「安倍型教育」から「民主教育」に振れつつある

「ある瞬間」、「何かをきっかけに」「悪人が善人に変身する」。ドラマや小説では、よく見かける筋立てだ。「安倍政権が崩壊した瞬間」「11万人が参加した沖縄の島ぐるみ大集会をきっかけに」「『安倍型国家主義教育』が『民主教育』に変身する」。こんなストーリーが、果たして現実化するだろうか。

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郵政公社の効率化は、人の行なう作業まで機械的にした。そもそも「○」か「×」かというデジタル発想はいただけない。

 はっきり言って、おままごとだ。「あなたは失格」と宣言されたのに、首相という地位に恋々として居座る。みせかけの“工夫”はこらしつつ、相変わらずお友達で周辺を固める。安倍首相の内閣改造・自民党役員人事は、世間知らずでわがままなお坊ちゃんの、お遊びの世界でしかない。まあ、想定内のことで、いまさら驚きはしないが。

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 舛添要一氏の厚労相や与謝野馨氏の官房長就任で、「お友達内閣」からの脱皮と評価する声もある。だが、舛添氏入閣は、あまりに単純でみえみえのめくらましにすぎない。与謝野氏の件にいたっては、そもそも安倍首相は、盟友の菅義偉前総務相を官房長に起用する気だった。ところが直前になって事務所費問題が発覚。泣く泣く「管官房長」を断念したという経緯がある。

 報道によると、森喜朗元首相は27日の講演で、留任した渡辺喜美行革担当相と、党政調会長に就任した石原伸晃氏の名前をあげ、「『お友達内閣』の年長さんから年中さんが残っている」と批判した。他の閣僚をみても、大半が「親安倍」である。本当に「お友達内閣」から脱却するなら、少なくとも、加藤紘一氏や谷垣禎一氏らを入閣させなくては話にならない。

 しかも、一方で、参院選大敗を踏まえて、「挙党一致」を掲げざるをえなかったために、各派閥の領袖を取り込む形になっている。「重鎮」といえば聞こえはいいが、おままごとを監視するオヤジといった風情で、ますます新内閣を魅力ないものにしている。

 それにしても、自民党の人材枯渇ぶりはすさまじい。お友達でもオヤジでも、とにかく識見や実力があればだれも文句は言わない。だが18人の閣僚の中に、存在感のある人物が見あたらない。ある意味で、これは危険なことだ。彼、彼女らに国の運営を任せられない、というだけではない。信念もビジョンもない政治家は、目立たないがゆえに、監視対象になりにくいのである。

 田中角栄氏や中曽根康弘氏はときに「巨悪」と称され、厳しい批判の目にさらされた。当然、野党やマスコミにもそれなりの覚悟が求められた。相手が大きければ大きいほど、攻める側の力量が問われたし、多くの市民はそこに期待しエールを送った。だが、目立たない「小悪」は、監視の目をするっとすり抜けることがある点で、意外にたちが悪いのだ。もっとも、自民党から人材が払底したのは、野党がだらしないからと言えなくもない。やれやれ。 (北村肇)

福田政権誕生の過程に、世代間闘争を見る

 福田政権発足の過程を見ていて、ライブドア事件を思い出した。IT業界の風雲児、堀江貴文氏が果敢に既存メディアに挑戦、最後はフジテレビの前に屈した。というより、テレビ、新聞界の”長老”に手をひねられたといったほうが正確だろう。一種、世代間闘争であり、「青」に追いまくられた「老」の逆襲だった。

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