スナック菓子の最大・最悪の副作用とは何か
2010年9月24日9:00AM|カテゴリー:一筆不乱|北村 肇
幸い、現時点で、私の周りにはいない。ポテトチップスやかっぱえびせんを常時、引き出しに入れ、時折、パリパリ、ボリボリと食べる人。むろん、そのことで蔑視をしたり、人格を否定する気はない。ただ、意志が弱いんだなとは感じるし、電車内での化粧と同じくらい、できれば目をそらしたくなる光景ではある。
いや、こんな持って回った言い方はやめ思い切って叫んでしまおう。スナック菓子は人間の食べる物ではない。しかし……と逆説の接続詞を使うところが、われながらだらしない。実はたまにビールのつまみとして重宝だったりするからだ。まあ、「しょっちゅう食べる物ではない」をとりあえずの結論に。
本誌今週号で「スナック菓子のコワーイ話」を特集した。専門家によれば、ポテトチップスなどのスナック菓子はマイルドドラッグだという。麻薬取締法の対象となるヘロイン、マリファナなどがハードドラッグ、嗜好品だが大量に摂取すると健康を害するアルコール、ニコチンなどがソフトドラッグ。それらに比べれば「まだまし」とはいえ、スナック菓子は依存症を引き起こし、しかも肥満に結びつく危険性が多分にある。
さらに添加物の問題もある。塩分や糖分を過剰に摂取することになり、子どもの腎臓病や糖尿病を引き起こすリスクがあるというのだから、「コワーイ」話だ。発ガン物質が含まれているケースもあるという。詳細については特集をみていただきたい。
スナック菓子に代表される「簡単食品」は、現代人にとって欠かせない存在になっている。大きな理由は、時間が節約できるからだ。簡単に空腹をいやすことができ、簡単に栄養が取れ(実際は怪しいが)、何よりも簡単に入手できる。おやつを自分でつくるとなったら、かなりの手間暇がかかる。それはもったいない。こうした、何ごとにつけても「手をかける」時間を惜しむ点では、私も人後に落ちない。
では、浮いた時間を何に使っているのかと考えると、明確な答えが見つからない。そもそも、「食べる」という行為は生命維持だけではなく「快感」に結びつくはずだ。であるなら、その快感を得るための時間と、簡単食品によって浮かした時間との関係はどうなるのか。あれこれ思いを巡らせていると、一つの結論に達する。現代人は何が本当に幸せなのか考える余裕すら失っている。
これぞスナック菓子最大の副作用。こじつけすぎかな。(北村肇)