高校は一刻も早く卒業したかった。
2010年10月15日9:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
高校は一刻も早く卒業したかった。千葉県にあった放任主義の進学校では、受験勉学に精を出す特別クラスの生徒がいた。どこで目的意識を植え付けられたのか自分には不思議だった。父は高校中退集団就職の町工場経営者。勉強エリートの歩む道など想像もしなかった。ただ、私のような目的が希薄な生徒でも、ひきこもることなど考えず、一応毎日学校には顔を出した。麻雀や花札、ビリヤードなどの勉強に三年間は費やされた。一方で気に入った授業は聴いた。実家が寺だという坊主頭の教師には憲法前文の暗記を強制された。これは後々役に立った。マイケル・サンデルではないが、私はリベラリストの側面がある。日本国憲法の影響は大きい。大学に進むと、高校時代の反動か、法律や経済の勉強を始め、長めの学生生活を送った。就職活動は当然のように関心がなかったが、今では来年はどうなるかわからない雑誌づくりを楽しんでいる。不毛に見える高校時代の悪友は、馬鹿馬鹿しさも共有できるオトナの友になっている。(平井康嗣)