数十年に及ぶ単独政党の支配、米国の世界戦略上の理由ゆえ支援されてきた親米国家
2011年2月11日9:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
数十年に及ぶ単独政党の支配、米国の世界戦略上の理由ゆえ支援されてきた親米国家、長期支配が招いたコネと貧困を生む格差社会。その挙げ句の政権交代への市民の強い渇望。一方にある体制変更への保守的な不安。
これは今週号でとりあげたエジプトの話だが既視感を覚えた。そう日本である。
政権交代が起きた二〇〇九年。小鳩周辺は「革命だ」と騒いだ。当時はなにを大袈裟なという反応が大勢だったが、エジプトを見れば、空気のようになっていた長期独裁政権が瓦解するということは単なる政権交代ではなく、革命と呼んでも差し支えないインパクトだから、と考え直した。
しかし戦後、米国の方角を見て国家も整備され、調教もされてきた。独裁者が退場しても容易に国は変わらないだろう。エジプトでもメディアがデモの恐さを煽り、市民はムバラク支持デモに金で転んだ。東アジア共同体がいつのまにかTPPに変質したが、政治家に強い意思がなければ、日本も米国依存からは抜け出せない。 (平井康嗣)