編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

東京電力の記事で、佐高さんが木川田一隆について書いている。

編集長後記

 今週号の東京電力の記事で、佐高さんが木川田一隆について書いている。木川田は、日中国交回復以前に中国に渡っている。資本主義の権化である財界トップが、共産主義の国にすんなりと入れるものではない。特別のパイプがあったのだろうが、型破りだ。

 こういうときでもないと言及する機会もないので触れるが、木川田が暮らした千葉県市川市は私の生まれ育った町だ。永井荷風が住み、村上春樹の『1Q84』の主人公の出身地でもある。実は木川田の孫は小学校の同級生で一年生のときにいきなり誕生日会に呼ばれて家に行ったことがある。家は大きくて、じいさんが東電のエライ人だとは聞いていたが、その数年前に原発を福島県で営業させていた人物だとは最近まで知らなかった。性格が違うので彼とは親友にはならなかったが、振り返ると小学校から高校まで同じだった人間は彼ともう一人だけだ。親近感を覚えていただけに今の東電の腐れ体質には違和感を覚える。会社にも寿命があるということなのだろう。 (平井康嗣)