今週号のタイトルは迷った。
2011年6月10日9:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
今週号のタイトルは迷った。「放射能と食卓」もしくは「放射能と食品」と考えていたのだが、いざ、もとき理川さんのイラストがあがってきたら、牛や豚や鶏の鼻っ面に「食品」という文字を置くことがいやになった。なんだか人間中心主義丸出しだからである。
私はきまぐれにベジタリアンをやったことはあるし、マクドナルドや牛肉を個人的にボイコットしていたこともあるが、いまではあらゆる肉を美味しく食べている。定期的にホルモンを食べたくなって、足立のもつ鍋屋や、立石のもつ焼き屋の暖簾をくぐる。ただ鯨食論争に至らなくても、動物を食べることについての議論になると死刑制度についての議論と同じくらい場が暴力性を帯びて熱することがある。殺して当然だ、食べて当然だと言い切る相手を見て不快さを感じたことはたびたびある。
私が生きるためにいろいろな命を奪っていることは、しょうがないと思っている。生きたいから。しかし人間中心の欲望を開き直り続けていてはだめだ。原発も開き直っていたらなくならない。(平井康嗣)