私が政治家や官僚だとしたら政権が移っても、容易に変えられない仕組みをつくろうと考える誘惑にかられるだろう
2011年7月29日9:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
私が政治家や官僚だとしたら政権が移っても、容易に変えられない仕組みをつくろうと考える誘惑にかられるだろう。憲法学では改正しにくい憲法を硬性憲法、改正しやすい憲法を軟性憲法と分類する。日本国憲法は硬性憲法であるが(そのため憲法改正条項を緩和させたい国会議員は多い)、このような後戻りが効きづらい硬性な制度・仕組みという意味である。よい意味でそのような仕組みが作れればよいが、日本の政治はほとんど負の遺産の押しつけ競争である。自民党政権がつくった膨大な借金(麻生政権は最後に約一五兆円の補正予算をばらまいたし)やダムはそうだし、数万年の管理を強いる原発は典型的なソレだ。このような類は法改正によって無くすことは至難の技である。消費税も導入したら、じわじわと上がる一方だ。税と社会保障の共通番号制も同様だ。それを菅政権は今やろうとしている。憲法を変えやすいようにと主張する政治家は、他法や政策も柔軟に転換が効くような設計をまずは心がけるのが筋だろう。 (平井康嗣)