東京都で暴力団排除条例が施行される。
2011年9月30日9:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
一〇月一日から東京都で暴力団排除条例が施行される。これで暴力団排除運動は一つの節目を迎える。犯罪集団の摘発は重要だが、政治的不安定が続くのに警察国家化だけは着々と進むことに不快感を覚える。警察がここまで前に出てくるのかといえば、民主主義による統治の力や共同体の力が弱まっているからだろう。警察自身が共同体に解決能力がないと思わせるように恐怖心を煽っていることもある。政治の不安定や不信が続くことは安定や強さを求めがちになるから警察にとっては都合がよい傾向だ。
暴排条例の問題は、個人まで規制対象にしていることだ。これはすべての人が警察を常に意識し協力する相互不信の社会へと誘導する。つまり “社会の警察化” を促進するものである。一九九八年に暴力団排除宣言をした東京都のパチンコ業界は今どうなっているか。警視庁OBを受けいれ、常に警察の協力を得ようとする組織構造がつくられている。暮らしに密接な権力者・警察の伸長こそ、もっと監視しなければならない。 (平井康嗣)