野田首相に誉めるところが見つからなかったのか、よほど菅前首相が嫌いだったのか
2011年10月7日9:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
野田首相に誉めるところが見つからなかったのか、よほど菅前首相が嫌いだったのか、当初、メディアは彼を演説上手だとおだてた。
私にはただの駄洒落にしか思えなかったが。案の定、首相は駄洒落のネタがつきたのか、記者のぶら下がりからも逃げ回り、支持率も下がり始めている。
以前、全国の自民党若手政治家向けの講演を担当していたベテランの党職員に演説の良し悪しを聞いたことがある。時代を遡るのはご容赦願いたいが、立て板に水の “上手な” 演説をしたのは、三木派だったそうだ。
代表格が鯨岡兵輔。しかし、街頭で人をひきつけたのは田中角栄や浜田幸一のような政治家だったという。話はあちこちに飛ぶし、声もよくない。しかしたたき上げの体験をまぜ、実に面白かったという。むしろ脈絡がないからこそ話が面白いと考え至ったそうだ。慧眼か。その話のせいか、代表選ではどの候補者の演説も優等生に見えた。政治家を支えるべき原体験が貧弱になったからなのか。
松下政経塾ではリアルな経験は積めないだろう。
(平井康嗣)