野田政権は一一月のAPEC前にTPP参加を決めようとしている
2011年10月21日9:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
野田政権は一一月のAPEC前にTPP参加を決めようとしている。今年三月まで菅政権の最大の課題がTPPだった。『週刊金曜日』三月四日号の特集も「TPPは日本を壊す」である。
私も政府がアリバイづくりのために開国フォーラムを開催した二月二六日には、夕方には慎重派の山梨決起集会も取材し、リングに上がる前のウォーミングアップを入念にしていたことを思い出す。それが大震災と東電フクイチ事故で吹き飛び、本誌は原発と放射能汚染の報道に邁進してきたのである。本来はTPP参加交渉に参加するための意思表明の最終期限は六月だった。そのために開国フォーラムを開いたはずだ。
しかし今の政府の予定をみると、もはや国民的議論は無用らしい。市民参加政治はまた一歩後退か。さらに「TPPおばけ」だと推進派は、TPPは例外なき規制の撤廃ではなく、交渉も譲歩できると反論をし始めた。これではますますあぶない。米国に有利な規制緩和へと進むだろうから。やはり賛成する理由が見あたらない。
(平井康嗣)