私たちが消費する基準はまずは価格が安いことだろう
2011年11月25日9:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
私たちが消費する基準はまずは価格が安いことだろう。同じ価格ならば品質がよいもの。商品が公正か、倫理的かの優先順位はかなり低い。ただ最近の日本では安全かどうかを価格以上に気にする場合もある。とはいえ、このような指標は曖昧である。牛肉の放射能は気にしても、BSE検査を気にしているか。そう考えると価格が持つ情報への依存度が増すようだが、価格と価値は別物だ。なぜコメはいつも五㎏一九八〇円、一〇㎏二九八〇円なのか。スーパーが決めて、消費者も思いこんでしまっているからだ。
世界的競争力のあるらしい「ユニクロ」がなぜあの品質の服をあの安価でつくれるのか。それは海外まで行かなければわからない? 自由貿易の原則、いや製造業のセオリーから言っても安い労働力と材料しかない。日本でも強い農産品で対抗できるとTPP推進派は言うが、八二五号の大野和興氏の記事によれば、ブランド産地の多くを支えているのは一人前の労賃を払う必要のない中国人研修生たちなのである。 (平井康嗣)