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3・11後、頭にこびりつくものがある

 3・11後、頭にこびりつくものがある。
 これまで当然のように疑われもしなかった楽観的な考え方を問い直さなければならないという宿題だ。
 専門家のみならず市井の人びとにまでこれは突きつけられている。
 それは原発の有用性を疑うという程度の話ではない。

 反原発は原発に反対することを疑う。
 政治不信というならば、なぜ政治不信であることを疑わなければならない、そんなようなことだ。
 護憲派が護憲である理由も同じである。

 破壊後に来たる再生を受け止めるため、もっと考えろと、わたしはあせっている。
 思えば3・11以前から、この国の民主主義や自由は息苦しいと疑われ始めていた。
 その答えの一つは、たとえば国民主権ではなく議会主権に偏向していること、それらが招く過剰な法令遵守(強制)ではないか。
 ふりかえれば強制されずともだれもが納得する意思が日本国憲法に流れているはずだ。

 破壊する前提ではなく、むしろ護憲という引いた目線で憲法とは何かを考える必要がある。
 今週号をその第一歩としたい。

(平井康嗣)