編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

 大阪府市顧問で通産省出身の堺屋太一氏は道頓堀にプールをつくるとか、お祭り気分で言いたい放題だ

 大阪府市顧問で通産省出身の堺屋太一氏は道頓堀にプールをつくるとか、お祭り気分で言いたい放題だ。
 大阪万博での成功体験を死ぬまでひきずり続けるのだろう。
 万博は発展途上国型のイベントだというのが業界の認識なのにこの堺屋氏は電通の顧問もしていたが、万博、地方博といえば広告代理店のこの電通だ。

 国体もそうだが、一つモデルをつくるとそれを都道府県に売りつけ金儲けをするイベント屋でもある。
 政治家もまさか同じではないだろうが、橋下大阪市長と気脈が “通じているらしい” 石原「バカ」都知事という人もいる。
 知事は東京五輪に異常に固執しているが、これは電通仕切りで、都庁には出向者がいる。両人はまさか電通の力を借りて、選挙を闘おうとしているのか、などと、一応疑ってみる。
 そういえば電通といえば経済産業省(旧通産省)と自民党だったが、博報堂と言えば大蔵省(財務省)に民主党である。

 博報堂は民主党の選挙も手がけていた。今の野田民主党の消費増税路線とは関係はないだろけど。

(平井康嗣)

首相はわからないのか。金曜夜に官邸前に一万人が集まり大飯原発再稼働反対を叫んだワケを。

編集長後記

 首相はわからないのか。金曜夜に官邸前に一万人が集まり大飯原発再稼働反対を叫んだワケを。これは放射能ヒステリーではない。経済や政治や社会が大転換する大きな期待があるからである。なし崩しの再稼働は、その希有な芽を摘むだろう。政治家ならばこの空気をつかまえないでどうするのか。調整と決断を生業とする政治家に求められる仕事は、後世への希望を背中で見せることではないか。昨年の党代表選における野田氏の演説はほとんど覚えてない。ノーサイドにしましょうと党内の国会議員(有権者)に情で訴え、大穴的に首相の椅子を手に入れたことを唯一思い出す。それが今や地元船橋市で首相落選運動デモが起きるザマだ。弟の野田剛彦市議は次期市長選に出馬する噂だがここにも飛び火する勢いだ。

 一方、報道は少ないが、「原発のない鹿児島をつくる会」の会長も務める向原祥隆・南方新社社長が原発立地県である鹿児島の知事選(七月八日投開票)に立候補するという。庶民の怒りの火は燃え上がっている。 (平井康嗣)

 日本の政治情勢がつねに不安定なのは、近隣に二つの国家ではない「国家」があるからだ

 日本の政治情勢がつねに不安定なのは、近隣に二つの国家ではない「国家」があるからだ。
 この問題が、米軍基地、原発に核、TPPとすべての問題に影を落とす。

 日本は日韓基本条約で朝鮮半島唯一の国家として韓国しか認めてない。
 だから、この条約を修正しない限り、朝鮮を国家として承認できない。
 承認するためには停戦中の朝鮮戦争を終結させなければならないだろう。
 この外交の大前提を識者や報道が無視し続けていることは異常である。

 人口約二四〇五万人の朝鮮と同じように人口約二三二二万人の台湾も日本にとって合法政府ではない。
 外務省によれば朝鮮が外交関係を持つ国が一六二カ国だが、台湾が二三カ国だけである。
 今は一九七二年の日中共同声明によって「非政府間の実務的な関係」が灰色に維持されている。

 いくら国境が引かれ、市町村が再編されようとも慣習的に積み上げられてきた生活空間に、おいそれとは勝てるものではないのだろう。
 私も振り回されずに国を超えた友人関係を大切にしたい。

(平井康嗣)

親父が自衛隊員だった首相が”脱法”改造をした

 親父が自衛隊員だった首相が”脱法”改造をした。
 九月の党代表選後までのリリーフかもしれないが、森本敏氏を防衛大臣に起用したのだ。 日米同盟強化派であることは当人に帰属する問題なので、論考は別の機会に譲ろう。

 初の民間人起用だと報じられているが、これは、慣習を破った問題人事であるという意味である。
 防衛については「文民統制」と言われてきた。
 これまで文民は非軍人の国会議員だったが、今回は非軍人ならばヨシと首相は一歩踏み込んだ判断をした。
 森本氏は元自衛官で拓殖大学教員の防衛省べったり路線だが、これで防衛官僚はますます増長するのではないか。
 すでに政権交代してから防衛予算は防衛省の意向通りに国会を通過しているとの批判もある。

 また来たる六月一二日には、都内荒川を練馬駐屯地の陸上自衛隊レンジャー部隊が小銃片手に行進するそうだ。
 前代未聞の図々しさだ。

 週末の日曜日は基地に翻弄される沖縄の県議選投開票だ。
 名護市の元助役候補の当落が気になる。

(平井康嗣)

消費増税が国会で大詰めを迎えている

 消費増税が国会で大詰めを迎えている。
 所得がなければ消費もできないのだから、「まずは所得からというのが税の大原則」だと、今週号の特集で富山泰一さんが指摘している。
 消費増税論争を筆刀両断にするわかりやすい話だ。

 民主党政権の増税・財政再建路線は野田首相が始まりではない。
 鳩山由紀夫首相、菅直人財務相時代から一貫している。
 動向が注目されている当時の小沢一郎幹事長も同じ穴の狢ではある。
 二〇一〇年一月に本誌は「民主党政権の増税論」を特集しており、政府の諮問機関である政府税調専門家委の神野直彦座長に私は話を聞いた。
 読み返して思ったのは、政権発足当初の子ども手当バッシングが今につながっていたということだ。

 自分が当事者でない場合、他者をとりすぎだとバッシングする社会、だ。
 これは当然高齢者への年金や生活保護受給者への不寛容へと展開されていく。
 このような社会では他者への連帯感など育つ余地もない。
 神野氏は、まずは政府が信頼を取り戻すことからと指摘したが、その通りだ。 (平井康嗣)