今週号は昨年に続き原発と原爆の特集となった
2012年8月10日9:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
今週号は昨年に続き原発と原爆の特集となった。
原発震災以後、広島と長崎の原子力爆弾を振り返る上では、原子炉を用いる原発を無視することはもはやできない。
手塚治虫はアトムとウランをきょうだいにしたが、アトムの宿敵にはプルートゥ(死後の世界を司る神)と名付けている。
これが半減期二万四〇六五年のプルトニウムの語源になっている。
高速増殖炉のもんじゅや廃炉になったふげんの名前も、成仏を求め修行する菩薩の名に由来する。
核武装論者の安倍晋三元首相は、東京電力福島第一原発事故を「わたしたちの知恵と技術で克服していく」と語った(私は「克服」とか「撲滅」という言葉が嫌いだ)。
しかし科学者は原子力を知恵と技術で克服したくてもできていないと理解していたからこそ、ウランとプルトニウムを使う技術に対し、付け焼き刃的に仏教に依存したのだろう。
政府が実施した全国の意見聴取会でも原発依存度ゼロを希望する人が七割を占めた。
知らないことを知っているのはこの人たちだ。
(平井康嗣)