あなたと友人は腹が減り、食堂に行く。
2012年11月30日9:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
あなたと友人は腹が減り、食堂に行く。
ビルマの地方都市だとする。メニューはビルマ文字。判断不可能だ。
でもあなたは選ぶ。決断だ……。では。なんとか内容がわかったとしよう。
が、カレーライスとライスカレーの二種類だけ。どっちでもいい……。けれど選択しなければならない。
迷う。すると友人が大胆に選んでくれた。その判断は合理的なものではない。
サイを振るような暴力的な決断だ。選んだ料理も不味かった。でも彼にどこかで一目置いた。
「決断の瞬間はある種の狂気である」。キルケゴールはそう達観したという。
昼飯程度の「決断」はいい。しかし人の暮らしに関わる政治の場合は?
今の日本は成熟している。甲乙つかない問題は多い。
憲法改正など遠い世界の話だ。長い目でみれば大きく影響するが迷って当然だ。
その中で次々に大胆に攻撃的に決断する。すると改革者という印象を獲得し信者が増える。
これを逆手にとる政治屋が今の日本にはいる。「決断」を見せびらかす者に気をつけたい。
(平井康嗣)