編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

バブルを煽ろうとしているのは誰なのか

編集長後記

「アベノミクス」だと、バブルを煽ろうとしているのは誰なのか。今それをよく見ておく絶好の歴史的機会だ。バブルは人気と空気だ。メディアや代理店はスポンサー企業のため、ここぞとばかりに連日、消費や投機に手を出すよう世間の焦燥感を煽っている。必死さを裏に隠す詐欺師のような明るさにはウンザリする。
企業や若者が集中する超都心ならともかく、その他の地域では地価が上がる理由も乏しい。少子高齢化で二〇三〇年には六五歳以上が三人に一人になると推計される日本ではもはや住宅は過剰だ。

私は民主党の子ども手当を「財源がない」としつこく批判して潰した自民党議員を忘れないだろう。子どもは宝だ。もちろん人こそ国力という意味ではない。震災地取材での「子どもの声が聞こえるようにならないともとにはもどらない」という言葉が耳に残っている。子どもがいる町には、親がいる。学校がある。友達がいる。そういうことである。なにを豊かさの物差しにするかだが、それは少なくとも株価や地価ではない。 (平井康嗣)