自費出版『ゾウのつぶやき』というエッセー集を送ってくれた。
2013年6月7日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
定期購読者の阿部穣さんが、自費出版『ゾウのつぶやき』というエッセー集を送ってくれた。先日、お電話をいただき、遅ればせながら本を開いた。一九三〇年生まれで国鉄職員だった阿部さんの、軍国少年時代の話が、今の日本を考えると憂鬱になるわが身に染みる。以下、本文より。
〈当時、私の父は平壌府庁に勤める官吏だった。/戦争の長期化に伴い、わが帝国は朝鮮の人達を一段と愛国心に富む皇民に仕立て上げる必要に迫られていた。朝鮮総督府は、“皇国臣民の誓詞”なるものを制定し、学校や役所の朝礼などでみんなして唱和するよう強力に指導した。/小学生向けには “皇国臣民ノ誓イ”というのが作られ、みんな暗記させられた。/一、私共ハ大日本帝国臣民デアリマス。/二、私共ハ心ヲアワセテ天皇陛下ニ忠義ヲツクシマス。/三、私共ハ忍苦鍛錬シテ立派ナ強イ国民ニナリマス。〉
つねに私たちは都合よく歴史を単純化している。これでも侵略戦争ではなかったと言い張る歴史修正主義者の首相は悪質だろう。 (平井康嗣)