バリバリ働いている中堅官僚と話していたら、自分の老後はこのままでいいのかと考えてしまったと言う。
2013年7月19日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
霞ヶ関でバリバリ働いている中堅官僚と話していたら、自分の老後はこのままでいいのかと考えてしまったと言う。先日、彼は弟の結婚式に出席するために西日本の実家に帰った。すると郷里で就職し小中学校からの友人たちと付き合い続けている弟の姿が意外にもまぶしく映った。彼は、偏差値の高い学校に次々に進学して官僚になり、国際機関にも出向した。志も高い人物だ。しかし今、仕事関係と家庭しか人間関係がない。おそらく退職後には友のいない寂しい人生が待っているということに直面した。
彼の話はよくわかる。大人になるほど周辺の人間関係は同質化しがちだ。仕事や趣味や価値観を同じくし自分が受け入れられる人とだけ付き合ってしまう。スクールカーストではないが小中学校の人間関係はたいていきつい。だが、記号でつながる関係は容易だが、心でつながる関係は得難い。過去に戻って友人はつくれない。細々と小学校以来の友人たちと付き合っていることをぼくはあらためてありがたく思った。 (平井康嗣)