人を薬で眠らせる。 人体を切る。
2013年10月4日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
人を薬で眠らせる。
人体を切る。
人を拘束する。
人を監禁する。
人を殺す――。
どれも近代刑法において人に対しては許されない犯罪行為である。しかし、それが日常的に(部分的に)許されている施設がある。病院、警察、監獄だ。
もちろん、許されている理由はある(刑法上「正当業務行為」という)。でも、そもそも許されるものではないのだから、ほんとうは最小限度にしなければならないと発想するのが筋だ。しかし実際はどうだろう? この“超”人権的な行為を自分たちとは違うから構わない、とかんたんに許し、受け入れる気持ちがすでに日本社会に流れてはいないか。
超法規的な病院や警察に安易に委ねることは、「憲法番外地」の拡大を認めることにつながっていく。今後、精神病棟に被介護者や認知症治療者の入院も増える方向だ。声なき声に耳を傾けていないと、つけはいずれ自分に跳ね返ってくるだろう。 (平井康嗣)