「東北ショックドクトリン」
2014年3月14日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
今号特集の見出しは「東北ショックドクトリン」とした。「ショックドクトリン」とは、カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン氏が自著で提唱した概念で「惨事便乗型資本主義」と呼ばれ、文字通り惨事に便乗して進められる市場原理主義的な構造改革のことだ。以前本誌で登場した樫村愛子愛知大学教授もすでに『ネオリベラリズムの精神分析』(2007年)において既得権システムの破壊とルールの奪い合いを指摘している。
特集では東日本大震災に便乗した企業参入や「地元」「地域」の破壊と再生に焦点を当てた。伝統的中間団体である漁協をラインから外して、漁業の会社化を進める特区構想などが構造的に改革を迫る典型例ではあろう。しかし桃浦漁協の水産特区参加について取材してきた編集部の野中や内原に話を聞くと安易に評価はできないと感じた。
小泉以後、政治家の主な役割は破壊と攻撃になっている。破壊してしまえば時の市場や空気がルールを奪っていく。ニセ改革やニセ復興に騙されてはいけない。 (平井康嗣)