編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

創刊1000号となったので、読者の方から手紙やメールが届いています。

編集長後記

 先週創刊1000号となったので、読者の方から手紙やメールが届いています。ありがとうございます。創刊号に向けた1993年の『朝日新聞』の全面広告の実物大コピーなども送っていただきました。読み物としても面白く、社内に張り出してあります。

 今週号の表紙は、佐高編集委員と朝堂院大覚氏です。朝堂院氏は、朝鮮総聯本部の競売問題でも仲介役として登場したり、とにかく顔の広い人物です。しかしその“怪人”ぶりは若者の心をつかむのか、以前もお逢いしたいので連絡先を教えてくださいと編集部に訪ねてきた若者がいました。先日、朝堂院氏の事務所スタッフと話していると「総裁はたまに中学生とお茶を飲んでいるんですよ」と笑っているから、ああ、あれかとにやけました。ただ超強面たちとも同じようにお茶を飲んでいる姿も目に浮かびます。

 朝堂院氏が橋下徹氏を絶賛している点など同意できない点もありますが、それは相手も同じこと。ネットTVで政治家や企業などを実名で告発をしている点は注目です。 (平井康嗣)

独立系出版社の雑誌が1000号を数えるというのは、非常に珍しいことだ

編集長後記

 赤字だろうが誰も面倒をみてくれるわけではない独立系出版社の雑誌が1000号を数えるというのは、非常に珍しいことだと元『話の特集』営業部長Dは言う。月刊誌はなかなか数が及ばないし、そもそも独立系の週刊誌が存在することは困難だ。週刊メディアと言えば、60年代の大森実さんの『東京オブザーバー』にさかのぼってしまうのかもしれないほどだ。

 『週刊金曜日』は今は単行本を出版しているが、それでも総合出版社が実態ではなく、基盤は週刊誌である。権力へのカウンターカルチャー誌をめざし続けた独立系月刊誌の『面白半分』『噂の眞相』や『話の特集』も今や退場している。権力や国家に嬉々としてすり寄ったり、もしくはそれが売れるからと好戦的で差別的ないじめをする反知性的、エセ知性的なメディアや読者がはしゃぐ時代になっている。

 そんな時代だからこそ、立ち止まって考えよう。情報の流れを自ら絶たなければ、自分の頭で考えることはできないはずだ。腹をくくって知性の復権を掲げたい。 (平井康嗣)

安倍首相が北朝鮮(朝鮮)に対する経済制裁の一部解除を決めたと各紙大きく報じた。

編集長後記

 安倍首相が北朝鮮(朝鮮)に対する経済制裁の一部解除を決めたと各紙大きく報じた。日本国内では経済制裁によって、朝鮮本国がダメージを受けているという見立てが支配的だが、実際にそうなのか。

 先日、朝鮮研究者の勉強会に参加したところ、興味深い発表をいくつか聞いた。中韓接近の対抗策として日本政府は朝鮮に近づいているとも報じられるが、中朝関係は日朝よりも太く、すでに特区や合弁会社を一緒にやっている。イタリアやスイスの企業も合弁会社を設立しているという。日本政府が承認している国は194カ国、朝鮮は約160カ国と国交をもっている。日本人研究者が朝鮮経済を調査しに訪問したところ、ひさしぶりに日本の人が来たと言われて、朝鮮にとって日本は忘れかけられた存在になっていることを実感したそうだ。

 日本は日朝外交を安保や拉致だけで見がちだが、世界ではマイナーな視点であろう。結局、これまでの対話不在の強硬制裁で困ってしまったのは日本政府そのものなのではないだろうか。 (平井康嗣)

小誌に共鳴してくれるのか、創価学会員の読者の方も少なからずいらっしゃるようだ

編集長後記

「平和」や「人権尊重」を掲げている小誌に共鳴してくれるのか、創価学会員の読者の方も少なからずいらっしゃるようだ。今週号も集団的自衛権に関して学会員の方から投書も頂いている。

 そんな小誌は1999年10月22日号に「平和と人権を捨てる創価学会」という特集を組んで、創価学会と公明党を批判したことがある。理由は、「国旗国歌法」「組織犯罪対策三法」「住基ネットワーク導入の住基法改正」など、自由や憲法をないがしろにする悪法を公明党が自民党と組んで成立させていったからである。公明党と学会の深い関係についても言及している。

 そしてこの日本国憲法の軽視が、いよいよ改憲手続きまで無視する集団的自衛権の解釈改憲を自公政権になさしめた。平和や人権は掲げたら、下ろしたり、また拾ったりする、安直なものではない。そのことを学会員のみなさんこそ、身にしみてわかっているはずではないか。だからこそ公明党が学会防衛のために自民党の暴力に屈したとすれば情けない。 (平井康嗣)