安倍首相は憲法を読む気はないし、信じたいものを信じるだけらしい
2014年8月8日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
集団的自衛権の行使容認は、憲法9条の素直な解釈から逸脱するものだが、安倍首相は憲法を読む気はないし、信じたいものを信じるだけらしい。
トップのその態度は、いまやこの国で蔓延している。首相はかねてから朝鮮人「慰安婦」の強制連行の証拠はないという立場だが、そのような議論は飛躍を重ね、今や戦時中の強制労働を含めた朝鮮人への「強制性」の歴史を否定する動きにまで広がっている。この主張者らは路上抗議をし、請願や、議会決議を求めるなど民主的手続きを重んじる。「左翼のプロ市民運動家」といういやなレッテル貼りがあるが、今や「右翼のプロ市民運動化」と呼びうる状況だ。彼らは警察に忠実なデモをし、容易に裁判所の介入も求める。
しかし、このような下位の法は守る一方、上位規範である憲法や人権条約などには否定的だ。目の前の細かい手続きやルールを守り、立法趣旨や本質を考えることのない「悪法も法なり」という態度は悪化し続けていると思っていたが、今や危険水域に達している。 (平井康嗣)