編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

「戦争」や「軍国主義化」という言葉は、硬直化した議論を招きやすいようだ。

編集長後記

「戦争」や「軍国主義化」という言葉は、硬直化した議論を招きやすいようだ。

「戦争」という概念は国際法史上も曖昧でテクニカルに使い分けられてきた。その反省から実をとる「武力の行使」「武力による威嚇」の原則禁止が国連憲章や日本国憲法でも明記されることになった。一方、例外的に集団安全保障、個別的自衛権、集団的自衛権を行使する場合には武力が合法化される余地を残した。だから国家の武力行使は大抵「平和」のため。戦争反対という批判は暖eに腕押しだ。

 また近年の「軍国主義化」の理解には経済の視点が必要だろう。『経済ジェノサイド』で中山智香子氏は、予言的なフリードマン経済学を紹介した。なぜ小さな政府を志向するのに防衛費は増加するのか。景気後退に入ると国家は支出を減らすが、軍事は最後の最後。むしろ企業は安定した軍事産業へと依存を強め、支出が増える。武力行使そのものではなく、軍事(平和)支出の拡大こそが安倍政権の目的だという仮説も持ち、金の流れを見つめたい。 (平井康嗣)