今週号は日本の「歴史修正主義」を考える特集である。
2014年10月31日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
今週号は日本の「歴史修正主義」を考える特集である。確かに歴史は修正されていくものだ。新しい史料が発見されれば、史実は上書きされていく。だから歴史の修正自体は否定されるものではない。
しかし、昨今の歴史修正は自らのイデオロギーや価値観、思い込みに沿ったように歴史を書き換えようとする。これは修正ではなく歪曲、捏造である。海外ではホロコーストはなかったという人々が歴史修正主義者と呼ばれたが、日本のそれは「慰安婦」や南京虐殺を歴史から消そうとする集団であろう。彼らは自国に“不利”な事実を認める人々を「自虐史観」と批判し、自らを「自由主義史観」と名乗ってきた。歴史も規制緩和なのだ。一つの訂正、一回の謝罪を見つけると、鬼の首をとったように全否定する単純な手口だが、それは繰り返され、ばらまかれている。
「吉田証言」や「吉田調書」の記事を取り消しても、記事のすべてが間違いではないとは考えないのか。知ること、読むことの難しさがあらためて身にしみる。 (平井康嗣)