「イスラム国」の日本人人質「殺害」事件の詳細はいまだ不明だ。
2015年1月30日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|平井 康嗣
編集長後記
「イスラム国」の日本人人質「殺害」事件の詳細はいまだ不明だ。しかしウェブ上の映像が事実とすれば、あのような湯川さんの殺害は到底受け入れられない。人の尊厳に対する侮辱である。世間では「テロは許せない」という言葉が繰り返される。が、「テロ」だけでなく西欧先進国のより大規模な「武力行使による殺人」も許されないことをあらためて確認したい。また「テロ」は殺人そのものというよりも、殺人もともないつつ他者を恐怖に陥れ、行動修正を促す行為であろう。
とはいえ日本社会の反応を見ていると「イスラム国」に恐怖している雰囲気ではない。日本では自分が住む町にいれば、無縁だという空気だ。しかし現在、国内を見渡しても今週号のアイヌ、在日コリアンへのヘイト、沖縄への構造的な差別など「民族」同士の問題が身近にあり、その中で生きている。そして過去。1937年、本土の暢気さの一方中国では日本軍が兵を進めていた。辺見庸さんの新連載「1★9★3★7」の問いかけを考えたい。
(平井康嗣)