編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

地方議会の選挙戦が各地で始まった

編集長後記

 地方議会の選挙戦が各地で始まったが、中央政府の横暴が各地で再現されるのか気になる。あらためて民主主義、民主制を問いたいのだけど、どうとらえたらよいのか。多数決か。話し合いか。権力が暴走しないようにする民衆によるブレーキ、だろうか。

「劣化する自民党」(2月20日号)という特集を組み、合点したものがある。それは自民党三役会の全会一致方式だ。総務、政調、幹事で法案を全会一致することをもって国会で審議する仕組みだ。もちろんすべての議員が納得するわけではないが(そのようなこともまずない)、十分議論を尽くしたことで反対でありながらも納得するのだ。だから国会で明確な造反が出ない。

 これはおもに小泉政権前の自民党の時代の話だが、民主制がめざすものは全会一致ではないだろうか。はなから多数決をめざすのはただの権力行使。もしくは決断という単なるサイコロ振りだ。十分に議論を尽くしたと実感した上での多数決と、議論の不十分な多数決では同じ民主制でもまったくちがう。 (平井康嗣)