編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

自衛隊出身の区議候補(現職)の男性が、〈日本を護ります、外国人の生活保護受給を見直し、生活保護の不正受給を防止します〉、と連呼していた

編集長後記

 統一地方選のさなか、駅頭で自衛隊出身の区議候補(現職)の男性が、〈日本を護ります、外国人の生活保護受給を見直し、生活保護の不正受給を防止します〉、と連呼していた。不正受給はもちろんだめだ。しかし日本を護るために外国人や生活保護受給者を対立構造に置く感覚はいかがか。彼の言う「日本」とは日本をより狭くとらえる排外的な主張だ。

 だが今やこの感覚を共有する人は少なくないようだ。2012年に片山さつき参院議員が生活保護問題で盛大に「弱者」攻撃をした効果がじわじわと出ている。統一地方選によって目の前の問題としてそれは可視化され、拡大していると言える。「左翼」はなんでも最後は安倍批判だと乱暴な物言いがあり、無視したいが、この発言者は現状からの逃避かつ責任回避だろう。

 繰り返すが安倍政権になってから人に厳しい排外的な社会へと加速している。ここに大衆が率先して参加していることが私には怖い。政治家は憲法を読み、人を信じる姿、人に優しい姿を率先して見せてほしい。 (平井康嗣)