一歩引いて眺める
2015年7月31日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|admin
戦後70年企画の目玉として連載してきた辺見庸さんの「1★9★3★7」が最終回を迎えた。時間や空間を行きつ戻りつ、窒息寸前まで息を止めるかのように思考を追い込む硬質な文学を掲載できたことは大変誇らしかった。連載物としては異例のページ数をとり、「薄い」『金曜日』としては悩ましくもあったが、読者のみなさんの反響が大きかったことは幸いだ。
週末は、東京都現代美術館の「おとなもこどもも考える ここは誰の場所?」を観た。撤去されるという会田誠さんの作品はいつもの自虐的なノリで、安倍首相?!のパロディはテレビのコントでやってもいい程度でもある。いまのテレビの笑いが腰抜けすぎるだけだ。安倍首相に塩を送るが、作品を観て、「ははは。よくできているじゃごじゃいませんか」とでも言えば少しは支持率が上がるはずだ。同美術館で「戦後美術クローズアップ」と題して所蔵作品を展示している。今号の「1★9★3★7」で言及された香月泰男もある。一歩引いて日本の景色を眺めてみたい。