天皇と憲法
2016年9月2日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|admin
私はつねづね日本国憲法の特殊性は、象徴天皇制と憲法9条の二つだと考えてきた。憲法9条については高度に理想的だけど、戦争に突き進み尋常ではない数の人を死なせ、傷つけた国としてはこれくらいの理想を掲げるのは当然だと思っている。
一方、天皇制については、「慰霊」「祈り」の存在として強調される積極面以上に、やはり時の権力者に利用され、それをくつがえせなかった歴史(特に近代史において)への苦い思いがぬぐえない。
このたび高齢の天皇を“ブラック企業”ばりに酷使する日本国の仕組みも“告発”された。天皇は憲法上の「象徴」だから、憲法上の人権規定から派生する権利の適用はなくても矛盾はしないとされる。しかし「象徴」でも「人」なのだから無理なものは無理だ。
これはだれかが言わなければならなかったはずだ。そもそもこの“窮状”は自作自演だったのか。ともかく天皇を帝国憲法や日本国憲法が再定義したことから、齟齬が生じたとも言える。天皇について開かれた議論は必要だろう。