大事なもの
2016年11月25日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|小林 和子
初冬のきらきらする日差しのなか、庭にある遊具の上にマットを敷き、お弁当を広げる生徒と先生。ちょっと早めのお昼に間に合うように、2人で黙々と準備をしていた。
縁があって知人と私立の特別支援学校を訪ねた。「ちょうど子どもたちは先生と一緒に買い物に行っています」と校長先生。都会のど真ん中にある校舎は驚くほど静かで、残った子どもたちが思い思いの遊びをしていた。小学部とともに幼稚部もあるので待機児童が多かろうと尋ねたところ、生徒が減り経営的に厳しいという。応募倍率が極めて高い幼稚園と同じ理念・手法で営まれているはずなのだが。
最近は親のニーズに応えてくれる学校が好まれる。サービスを提供するという経営的な視点はたしかにこの学校にはない。だが、子ども1人ひとりが主人公という理念が端々に感じられる。たぶん私たちが生きていくうえで大事なものが、この学校では大切にされている。玄関に賑やかな声が響いた。買い物から子どもたちが戻ってきたようだ。