編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

未来への責任

 最近、衝撃を受けたニュース。愛知県の女子高校生が、自分の産んだ娘の遺体をバッグに入れ、警察署に出頭したというものだ。警察は彼女を「保護」ではなく「逮捕」した。

 出頭という行動に出る前に、彼女の頭の中にはいろんな考えが浮かんだことと思う。だが、16歳の少女は、(おそらくその迷いを振り払い)決断し、行動した。たとえ少女に何があったにせよ、そのことに心を揺さぶられる。

 共謀罪法案はいま、衆院を通過し、参院に送られた。19日、衆院法務委員会で強行採決が行なわれた直後、国会前を通りかかったが、たくさんの人たちが詰めかけ、怒りの声を上げていた。なかには読者会のTさんも。「連日国会に来ている」という。市民や野党議員らによる抗議のスピーチは、政府のしどろもどろの答弁に比べ、なんと理路整然として力強いことか。

 詐術に近いやり方で無理筋を通そうとする政府に、改めてノーを突きつけたい。どんな状況下でも、自分の、自分たちの未来への責任を果たしたい。

憂いなく歌いたい

 原民喜・林光作詞、林光作曲の「新 原爆小景」。その楽譜を最初見たときは、「難しすぎる」と感じた。声に出してはみたが、やはり音がとれない。だが、飯村孝夫先生による“魔法の指導”で全体を通すと、曲の素晴らしさに圧倒されて涙が出て困った。

「新 原爆小景」の楽譜は未出版だが、林光事務所のご好意で歌うことができるという。だが、今年はいつにはなくピリピリ。著作権法違反も対象とされている共謀罪法案が国会で審議されているからだ。成立すれば、一般市民といえども警察の判断一つ、ささいなミスで適用されかねない。

 私たちが歌うのは「君が代」処分をめぐる裁判を支援する「コンサート・自由な風の歌12」。都内・セシオン杉並で7月23日(日)の予定だ。その日までに法案を廃案にして、憂いなく「日本国憲法・前文」「九条」など歌いたい。

辺野古を訪れた

 護岸工事が強行されている沖縄・辺野古を訪れた。当日5月4日は連休中とあって、工事がストップしていたものの、テント村では4764日目の座り込みが続いていた。

 鈍い音が時折ズドーンとあたりに響く。米軍基地内の廃弾処理か?「日本の休みは関係ないので、朝から実弾演習をしています」とテント村の方が教えてくれた。警戒船が出ていたものの海はのどか。太陽に灼かれながら美しい砂浜でしばらく遊んだ。

 前日は那覇ハーリーで、おめあてのチームの応援で声を張り上げた。昔ながらの爬龍船を漕いで速さを競う行事だ。この時期、各地で開かれる。辺野古は先月28日だった。『琉球新報』によると「米軍や沖縄防衛局も出場して和やかな雰囲気」だったようだが、「今年が最後のハーリーになるかもしれない」とある。ハーリー会場がブロックの製作および仮置きをする作業ヤードにあたるからだ。そうはさせまいとする闘いがつづく。

 なお、投書欄は投稿が少なめなので、当分の間2頁とします。