編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

解散・総選挙へ

 解散・総選挙へ。予想通り”エセ改革新党”に有象無象が結集(失礼!)。壊憲阻止へ、本誌も力を注ぎます!

「メディア一撃」は今週号で連載を終了する。2010年からの人気コラムだった。なかでも髙嶋伸欣さんは06年からの「メディアウオッチング」を、浅野健一さん、中嶋啓明さん、山口正紀さんは、1997年からの「人権とメディア」を引き継いだので、本当に長丁場だった。

 たくさんの人が亡くなる事件が起きた時、いたたまれず追悼する会に私は駆けつけた。会は非公開で取材はお断りだったが、本誌関係者が5人その場にいた。「草の根www.」の岩本太郎さんもその1人。会の後、みんなでビールを1杯だけ飲み、話をした。書く、書かないに関係なくフットワークよく動き、議論をする。岩本さんの取材活動の一端をかいまみた気がした。

 砂川浩慶さん、田島泰彦さんにも毎回シャープな批評をいただいた。執筆陣には引き続き協力いただけることと思う。目下、新しいメディア欄を準備中だ。

歴史に向き合う

 アイヌ民族の遺骨問題は度々本誌で取り上げてきたが、今回大きな返還の動きがあったので特集を組んだ。実は沖縄でも研究目的のために琉球民族の遺骨が墓から持ち去られる事態が起きていたことを、平野次郎さんが6月23日号で報じていた。今週号の特集作成が佳境に入った頃、沖縄戦で集団自決の場となったチビチリガマが荒らされたというニュースが入ってきた。

 大田昌秀元沖縄県知事の遺稿『沖縄鉄血勤皇隊』(高文研)を思い起こした。戦場に散った鉄血勤皇隊の遺骨を、戦後学校に戻った大田らが収集しようとしたところ、「不必要に米軍を刺激する」として学校が拒否したのだ。

 当時、住民の自由な移動を米軍が禁じていたこともあるが、食糧の提供を米軍に止められることを学校側は恐れたのだという。だが、生徒は、そこで諦めたら、自分たちは「人間として腐ってい」るとして折れなかったという。今回の事態、歴史の風化として片づけていいのだろうか。チビチリガマは渡瀬夏彦さんが今週号で記事にしてくれた。

総がかり

〈自民党としては秋の臨時国会で憲法改正について案を提示し、来年の通常国会で発議をめざす〉むね高村正彦同党副総裁が発言。そのニュースが流れた翌日の8日、都内で「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」9・8キック・オフ集会が開かれた。

 今週号で小石勝朗さんのレポートがあるのでお読みいただきたい。私は開始時間ぎりぎりに駆け付けたが、席がない。同じように、ロビーのモニターで発言をきく参加者も多数いらした。いよいよ市民の側も「総がかり」を超える「総がかり」で運動を始めるときがきた。本誌の関連では編集委員、連載コラムニスト、常連執筆者の方々が登壇した。

 集会解散後、I部員は会場外で23日に予定している「添田唖蝉坊イベント」のチラシを配布していたが、「しゅうかんきんようびです!」と道端で本誌を手に声をあげている方がいた。ボランティアで本誌を販売してくれている読者だった。本誌も文字通り「総がかり」。これからさらに安倍改憲阻止に向かって企画を打って行きます。

警戒したい

 来年度の概算要求が8月末日に出された。総額101兆円規模となり、4年続けて100兆円超えだそうだ。

 財務省の査定によってこれを3兆円ほど圧縮するというが……。あまりに大きな数字で実感が湧かない。だが防衛予算が過去最大規模の5・2兆円というのは素直に驚く。今週号、半田滋さんの記事によると、「目玉商品として北朝鮮のミサイル発射に備える新型の地対空迎撃ミサイル『イージス・アショア』の新規導入が盛り込まれた」という。〈この機に乗じて〉、という疑いは拭いがたい。

 また、厚生労働省のほうも31・4兆円ということでこちらも過去最大規模。

 高齢化が進んだことや高額薬剤の増加が影響したという。高額薬剤とは、昨年の財政制度等審議会財政制度分科会で、使用規制や投与条件が議論された抗悪性腫瘍剤などの薬剤のことだろう。費用対効果が吟味される動きが出ているのは当然のことだが、エビデンスがないところで年齢などにより使用抑制する動きは警戒したい。

「横浜・寿町の障がい者はいま」について

 小誌8月18日号42~43ページ「横浜・寿町の障がい者はいま 福祉から排除された人びと」の記事に対して、誤った取材に基づく記事で、差別的な表現もあり、偏見を助長するとのご指摘が、寿町にかかわる複数の方から寄せられました。

 編集部で、筆者、および記事に関係する方数人に確認するなどした結果、全体として、不正確な取材に基づくために、誤った記述や偏見を助長しかねない差別的表現に至っていること、記事中のコメントも、43ページ3段8行目から15行目の越智祥太医師のご発言をはじめ、事実と異なるだけでなく、原稿段階でのご本人の確認をとっていないことも判明しました。

 編集部として、こうした記事を正確にチェックせず、掲載してしまったことを深くお詫び申し上げるとともに、寿町の障がい者福祉施策、および、社会的ネットワークの現状について、当該記事の検証となる記事を改めて掲載する予定です。関係者、および、読者のみなさまにご迷惑をおかけしたことを改めてお詫び申し上げます。