追悼 印牧真一郎さん
2017年12月8日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|小林 和子
去年の今頃は、アイスラーの『戦争案内』や歌物語『魔法使いの弟子』をだしものに歌のあつまり“風”の仲間とコンサートを開き、悠々と指揮をしていらしたのに。
オペラシアターこんにゃく座の制作に長年関わられた印牧真一郎さんが今年の4月に亡くなり、偲ぶ会がこの週末に開かれた。私は「ぶんか欄」担当以来のおつきあいだ。
印牧さんは〈自分の声〉〈自然な声〉〈率直な声〉そして〈今の声〉を求めてこられた。2007年に東京・星陵会館で“風”の歌を初めて聴いた時は、ショックだった。
人生のキャリアを積んだ人たちが借り物ではない、それぞれの声で、堂々と〈私の歌〉を歌う。実になまめかしくてゾクゾクとするのだ。それぞれの存在がそれぞれの言葉を持ち、響き合う。その時の力に気圧された。私はそれがとても政治的だと感じた。
偲ぶ会でマイクを持ったお連れ合いのおしゃべりの楽しく心に染みいることといったら。共にすてきな人生を送られてきたのだろう。ちょっぴり羨ましかった。