裁量労働制の本質的問題
2018年3月2日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|小林 和子
「働き方改革のために、毎日残業」。週末、エキタス#定額働かせ放題プランのデモに行く途中の電車で目が行った広告だ。自宅でも業務がこなせるテレワークのすすめか。IT業界にとってはビジネスチャンスだ。効率的に仕事ができるというのは悪いことじゃない。しかしそれで労働者の自由な時間が増えるわけじゃないだろう。安倍晋三首相が国会に提出した法案はそういう問題以前の、杜撰なものであることが露呈している。
端緒となった首相の国会答弁だけでなく議論のおかしさも指摘した法政大学の上西充子教授もこの日、雨宮処凛本誌編集委員とともに横断幕を持って裁量労働制の本質的問題を訴えた。同制度は経営者にとって携帯の定額使いたい放題プランと同じ、”労働者はモノじゃない”と小池晃議員(共産)。労政審で話し合うべきものが、官邸の産業競争力会議で実質、決められたことが異常。”若者を潰して何の経済成長か”と長妻昭議員(立憲民主)。もっともだ。野党連携による国会でのさらなる追及を望む。