姫リンゴと罪悪感
2018年4月6日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|小林 和子
お、歩いている。住んでいるマンションの隣室から声が聞こえると思ったら、小さな兄弟が2人踊り出て、廊下を走り出した。
これまで1人はベビーカーに乗っていたのだけれど。もしかして今日が保育園の初登園の日? つづけて荷物をたくさんもった両親が出てきた。
「おはようございます」
挨拶を交わす。
この季節、思い出すことがある。子どもの誕生祝いに自治体から姫リンゴの小さな鉢植えをもらったのだ。ベランダに置くと白くてすがすがしい花をたくさんつけた。大切に育てようと思ったのだけれど、枯れてしまった。
2人目のときも「今度こそ」、と意気込んだが、枯れてしまった。自分のダメ親ぶりが情けなかった。たまたまこの週末に2日だけ戻ってきた大学生の子どもとその話になった。
「それはね、子育てでいちばん忙しい時期だったからだよ」と言われた。なるほど。これまでの罪悪感が吹き飛んだ。それならリベンジを、とも思ったが、やっぱり怖い。また機会があれば――。