編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

トップ人事に異変か

「甘えた気持ちで……」。参院予算委員会で6月25日、福山哲郎議員が〈なんで問題がないのに公文書の改竄や交渉記録の廃棄や虚偽答弁をしたんですか〉という質問をしたことに対して、矢野康治財務大臣官房長はこう答弁した。

 平山みきの往年のヒット曲をつい思い出してしまうが(!)、あんまりへんてこで、驚くしかない。こういう発言も含めたいまの事態を招いた安倍政権の罪は重い。

 国会は延長するそうだが、IR法案にしても高プロ法案にしても、特にこれから社会に出ていく若い人たちの人生を左右する法律を、こんな人たちに決めて欲しくない。

 ある官庁のトップ人事を見て驚いた。菅義偉官房長官が目をかけているといわれた審議官が下馬評では先行していたが、王道をいくコースを歩んできた局長が就任を決めた。昔、フォークダンスを一緒に踊った先輩だ。

 こんな政権で、苦労多きことでしょう。政治家も官僚も、こころある人ならば、この政権に愛想をつかしているはず。では、どうすればいい?

危ない、危ない

 6月18日、大阪北部を震源とする地震で被災された皆様にお見舞い申し上げます。まだ余震も続いているとのこと。1日も早く元の生活に戻れることを祈念しています。

 梅雨の合間の強い日差しを浴びながら、自転車で会社に向かう。散歩する保育園の子どもたちが、横を通り過ぎていく。がやがや楽しそう。あれ、白い小さな靴がポツンと落ちている。振り返って集団を見ると、先生に手をひかれ最後を行く子どもの片足が……。慌てて靴を拾い「せんせ~い」と呼び止める。

 梅雨時は道路が滑る。後ろを自転車で走っていた女性が「きゃっ」と声を上げて自転車ごと転倒。前籠に入っていた上着だの本だのが道路に散らばる。前を走っていた男性と一緒に拾い上げる。擦り傷くらいで大事には至らなかったようだ。「危ない、危ない」

 信号の加減で川沿いの自転車歩行者道路を珍しく走行。緑が生い茂って久々に心が弾む。向かいからは誰も来ない。気持ちよく走っていると、うわっ。道の真ん中にうねうね動く蛇!

闘うメディア

 注目の米朝首脳会談。一連の流れの中で日本外交の問題点も浮き彫りになった。だが、大手メディアはなかなか報道しない。政府と大手メディアのリードする方向にとかく世論は流れて行きがち。では本誌の役割は? そんなふうに思い悩んでいると、時にガツンとされる出来事にあう。

 この週末、韓国ドキュメンタリー映画『共犯者たち』の自主上映会とシンポが連日行なわれた(本誌6月1日号で監督インタビューを掲載)。東京・なかのZEROホールでの上映会では507人の定員に、それを越える大勢の観客が詰めかけた。

 場内は騒然。結局、立ち見は許されず、払い戻しを主催者が丁重にお願いした。文句も聞かれたが、「これは画期的なことですよ、この映画にこれだけの人が集まるというのは」との一言が耳にとまった。

 映画はまさに韓国の権力とメディアとの闘いを描くもの。その闘うメディアを韓国市民が支援する。そして、そのドキュメンタリー東京上映会にこれだけの人が集まる――その事実に勇気づけられた。

安倍首相の辞め時

「アベノミクスに頑張ってもらわんと困るさ」。なんて一時は言っていた私の母。自分におこぼれがこないとわかったからか(?)昭恵さんと仲良く頻繁に外遊を重ねる安倍首相の姿に激しく怒りをぶつけるようになった。

 いまはそのウソつきぶりに「テレビで顔を見るのもイヤ」。トホホ。でも、いまも安倍さんの支持者は確実におられるようだ。

 財務省が4日に発表した森友学園関連の調査報告書で、記録廃棄が国会での首相答弁「私や妻が関係していたなら国会議員も辞める」の後だったことが明らかになった。とすれば、安倍首相の辞め時だ。周囲が身を挺して首相を守ろうとしたことに責任を感じて辞任を決意したとすれば筋が通る。

 ただ首相自身、自分がこれほどに守られている理由もわかっている。最高の権力を持つ身だからだ。その権力を手放したときに何が起こるのか。安倍首相が続投を求めるのは、本当に悲願の“自主憲法”制定にあるのか。改憲・降板後も安倍首相が自らを安泰と考えているとすれば、それは怖すぎる。

三つの映像

 国会、アメフト以外で驚いた三つの映像。

「北朝鮮が愚かで向こう見ずな行動をとるなら、韓国と日本は準備ができているだけでなく、不幸な状況が強いられた時に、作戦中、米国に関わる負担や財政的負担のかなりの部分を喜んで引き受けるだろう」(5月25日、トランプ大統領)。

 いつどこでそんなことが決まったのか、首をかしげるばかり。

「今上陛下は、憲法第9条を改正しようとは思ってらっしゃらないというふうに認識いたしております。今上陛下が危惧されていることにつきましては、されない方がよろしかろうと、そういうふうに思っております」(5月25日、長期勾留を解かれた籠池泰典氏)。

 重要な点ですが、安倍首相と意見がわかれるのですか。ひょっとして以前から?

「今度は17番ワグネリアンが先頭だ。ワグネリアン、福永祐一ゴール! 遂にダービー制覇です」(5月26日、日本ダービーで)。

 馬券は買いませんが、かっこよかった。クールな福永騎手が涙。彼をよく知る私の仕事上の大先輩Iさんも涙、涙。