奨学金問題
2019年3月29日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|小林 和子
今週号の特集は奨学金だ。私もかつての日本育英資金と東京都育英資金から奨学金を借りた。何年か前に返済を終えてほっとしたことを覚えている。だが、いまの学生のたいへんさをみていると、当時の自分の比ではないように感じてしまうのはなぜだろう。
子ども世代ということもあるかもしれない。それに学費が払えず休学してカネを稼いで復学する予定の学生の話をふつうに聞く。この春休みも、最低賃金が低く仕事の選択肢が少ない地方から、東京に“出稼ぎ”+就活パックが斡旋されているとも。
ブラックバイトと奨学金の問題がセットになっていることも、かつてはなかったこと。もっとも、人気の研究室ではバイト禁止を暗黙の条件として課すと聞く。
安倍晋三首相が「高等教育の無償化」という言葉を看板事業として掲げるのを聞くと、いらっとしてしまう。一部の人たちを対象にするのと、いずれの若者にも高等教育まで受ける権利を保障するのとでは、理念も経費もまったく違うからだ。