編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

トランプ米大統領の来日

「先程アメリカのトランプ大統領と電話で会談しました。私たちの思いは一致しました」。お笑い芸人・サンドウィッチマンの伊達さんのギャグではないけれど、トランプ米大統領の来日は、安倍晋三首相が参院選挙前に内閣支持率のアップを図るため、自身で企画した興行のようだった。

 NHKは2人の映像をたっぷりと流した。改元の政治利用がうまくいって気を良くしているのかもしれないが、トランプさんの友情出演料は高くつきそう。大相撲の特設席での観戦や炉端焼きのごちそうくらいではすむまい。米国が求める貿易交渉での譲歩など、われわれ自身がいずれたっぷりと支払うことになるのだろう。詳しくは参院選後?

 大統領が羽田空港に到着した日の午後、国会周辺に飾られた日の丸と星条旗が風に揺れるのを眺めながら、「示そう辺野古NO!の民意を」全国総行動に参加した。暑い、暑い日だった。NHKが公共放送というなら、安倍首相の取り巻きではない「一般の人」のこういう姿を、流してもらいたいものだ。

政治家と理想

 山本太郎議員の取材は4月26日14時スタート。ところが当日の午前中、時間を前倒しにしてほしいとの連絡があった。小沢一郎代表との面談日程が急遽入ったとのこと。「エエッ」と私は焦ったが、聞き手の藤田正さんはぜ~んぜんうろたえるそぶりなし。ベテランだから。そこら辺もちゃんと見越して準備をされているというわけ。

 小沢代表との面談は自由党に離党届を出すためだった。でも党自体「解党した」ので届の行き場がなくなったという。ともあれ新党「れいわ新選組」が始動して、山本さんは全国行脚中。テレビ番組のコメンテーターが〈できないことを公言してる〉と山本さんを罵っていた。政治家が理想を語って何が悪いんよ?

 最近発表された共同通信社による世論調査では、安倍内閣の支持率が依然50%を超えていた。絶望的な気分になる。一方、新党には5月20日時点で1億1215万円の寄附金が集まったことを知る。「いけるかも」と気を取り直す。私、ちょっと素直に反応しすぎかも。

さらに読みやすく

 先週号から目次を2頁にしました。詰め込みすぎとのご批判をいただくことが多いので、読みやすさ、見やすさを優先して写真も入れてゆったりと組んでみました。昨秋から本誌の特集は文字を大きくしましたが、一般記事はまだ変更をしておりません。一般記事も、文字の大きさや頁当たりの分量など変更をかけていく予定です。

 記事の中身についても「読みにくい」というご批判をいただきました。硬いテーマは、インタビュアーを立てるなどして話言葉で整理し直したり、グラフや表を入れるなどして理解を補えるよう工夫を心がけてはおります。しかし、まだまだ努力が足りないようです。読者の方からのご指摘は社内で共有しておりますので、具体的な解決案を誌面で示していくつもりです。

 今週号の表紙となっている弁護士の亀石倫子さんは、小誌とは人権課題について考え方が違う部分もありますが、これまでの活動に注目して登場いただきました。今後も、是々非々で議論していきたいと思います。

改元の政治利用

 今週号は合併号明けで10連休を挟み、しかも作業日が1日少ない。そんななかで迎えた今日の校了日。編集部はいつにもまして慌ただしい。独自の印刷所をもっているわけではなく、世界は動いているのにその動きをほとんど反映できないもどかしさを抱く。

 10連休が終わってみると、改元の政治利用ばかりが印象に残った。メディアはそれを批判するどころか、便乗するだけでうんざり。そんななか、『沖縄タイムス』が5月1日~3日付けで載せた批判的論考に目がとまった。目取真俊、新川明、川満信一各氏による「代替わりを問う 天皇制と沖縄」。掘り下げるべき論点が明快で、メディアに関わるものとして身が引き締まる思いがした。

 この夏の参院選挙は、衆参同時選挙も囁かれている。選挙に向けたこの間の自民党による雰囲気づくりは、一定程度成功したのかもしれない。後半国会の野党の論戦とメディアの政権チェックが重要になる。本誌もそのことを肝に銘じ、今日からの誌面作りにあたりたい。