良識の府
2019年7月26日7:00AM|カテゴリー:編集長後記|小林 和子
れいわ新選組の舩後靖彦さんが当選確実を決めた時、開票センターでは割れんばかりの拍手が起こった。私もその場に居合わせた。舩後さんは人工呼吸器を装着したALSの患者さん。立候補の決意の説明のなか、「命がけですから」という言葉が出た。
その前日、応援演説を務めた同じALSの海老原宏美さんも「命がけ」という言葉を使っていた。海老原さんは〈日本はALSの患者が人工呼吸器を着けて生きていける世界でも恵まれた国。その状況を、自分たちは時に社会の批判を浴びながら、命がけで勝ち取ってきた〉と話された。
参院では3年前の厚労委員会で、ALSの岡部宏生さんが参考人として口文字で発言された。「コミュニケーションに時間がかかり、議論が深まらない」(『朝日新聞』)と衆院では見送られたが、参院の提案で実現した経緯がある。
今回当選した、やはり重度の障がいをもつ木村英子さんと舩後さんは、知れば知るほど「良識の府」に相応しい議員だ。その主張にじっくり耳を傾けたい。