編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

溜息

雨脚が強くなってきた。ここのところ、雨天と晴天が交互にやってくる。月曜日の今日はあいにくの雨。雨ガッパを着込み、自転車で会社に向かう。ちょっと気持ちがすさむなあ。私の場合、多少濡れようが、持参したタオルで拭えばいい。だけど……。

 最前線で患者の治療にあたる医療従事者のマスクも防護服も足りていないという。その防護服の代わりに「雨ガッパ送って下さい」と、どこぞの市長が呼びかけたというニュースが頭をよぎるのだ。

 この1月から政府は何をやってきたのだろう。旗色が悪くなってきたいま、市民を懐柔するための策を講じ始めたようにみえる(無論いいことはどんどんやって下さい。マイナンバー活用はなしね)。

 現在、1日の感染者が1桁台と伝えられる韓国の報告を取りあげてほしいという意見をいただいた。私も知りたい。今回の総選挙に与党が圧勝したのは、コロナ対策が効を奏したことも一因という。

 民度のことは言っても仕方ない。溜息が漏れるだけ。

解決策は

 読者の方からいろんなお便りをいただく。最近のコロナ記事について、興味深いがかえって謎が増えたという率直な感想、感染の動向で自分の出張の可否を見きわめていることなどの近況報告、水道水の水質基準が変わる話を取りあげてほしいという要望などなど。じっくり読んで意見を下さるのが嬉しい。

 コロナの影響は出版業界の雑誌分野、本誌にももちろん及んでいる。緊急事態宣言を受けて休業や営業時間を短縮する書店が多く、長期低落傾向に追い打ちをかける。本誌も書店での売り上げは激減。ここはじっと堪えるしかないだろう。

「報道ステーション」の富川悠太アナウンサーの感染確認が報道されていた。現場は大変だろう。CT検査で肺の画像確認後、PCR検査をして発覚したそうだ。なぜ簡便な検査を先にしないのか、できないのか。そもそもの制度設計が根本的に誤っているのではないか。まったくおかしなことばかり。行き着く解決策は──政権のすげ替えしかない。

テレワーク

 緊急事態宣言の発令いかんにかかわらず、新型コロナウイルス感染のリスクを下げるために、「金曜日」でもテレワークを始めることになった。事務所での電話対応などが限られてくるので、読者の方々にご迷惑をおかけすることもでてくるかもしれない。ご理解をいただきたい。

 取材も対面で行なうもの、集会ものはリスクが高いので、なるべくIT機材で、となった。といっても、そううまくいくことばかりではないだろう。すべてが試行錯誤。雑誌が無事に刷り上がらないなんて事態は考えるのも恐ろしい。組版所、印刷所と連携しながら進めていきたい。

 最近は人と2メートル離れ、互いにマスクをしたまま話をするので、聞き返すことが俄然増えたように感ずる。窓も開け放しているので騒音もプラスされる。声が届かないだけでなく、表情がマスクで隠れて読めないせいもあるのだろうか。不便でしかたない。

 おまけに、今朝からぎっくり腰気味。肩の腱板損傷が少しよくなったと思ったら。なんてこと……。

政治家の仕事

 新型コロナ対策として人が家にこもることで発生する需要を「巣ごもり需要」というのだと、今週号の特集で知った。

 そういうときでも、必要物資を運んでくれるのがドライバーさんたちだ。想像はしていたが、かなりきつい職場であることがわかった。今回の需要急増でさらに大変だ。

 コロナ対策についての安倍晋三首相による3月28日の会見は、具体策を期限を切って打つという姿勢がみられなかった。たとえば貯蓄が十分でない単身世帯で、働き口が今回の騒動によって失われた場合、どうしたらいいのか。ほかにも、奨学金をもらいバイトをして大学に通っている学生もいる。バイト先の居酒屋が自粛で閑古鳥。自宅待機では生活が成り立たない。

 食べられない人を1人でも出さないのが政治家の仕事とすれば、所得制限などと悠長なことを言ってる場合ではない。まず全員に現金支給をして、あとで調整をする方法があってもいいのではないか。経済的弱者に負担がより重い消費税の減税は有効だと思うのだが。