編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

元同僚の死

 先週土曜日、以前勤めていた会社の元同僚(男性)を追悼する会に参加した。今年9月に58歳の若さで亡くなった。胃がんだった。妹さんの挨拶が胸に突き刺さった。「みなさん、どうか健康診断を受けてください。兄は、我が家はがん家系ではないから大丈夫などと言って健診を受けませんでした」。そういえば、12年前にやはり胃がんで亡くなった元男性上司も、忙しさにかまけて健診を受けていなかった。がんが発見された時にはもう手遅れの状態だった。元上司も享年58歳だった。

 近年医学の進歩によって、がんは不治の病ではなくなった。早期発見できれば、なおさらだ。そのためにも年に一回は健診を受けておきたい。

 先日受けた健診の結果が少し前に届いた。私は健康体で、これまで大病をしたことがないし、持病もない。でも血糖値が高かったりと、年相応に注意すべき点も見つかった。数値は身体からの信号だと考えて、生活習慣を改善していきたい。まずは、休肝日を設けることから始めることにしよう。(文聖姫)

BTS人気に思う

10月15日に韓国・釜山で開かれたK―POPグループ「BTS(防弾少年団)」のコンサートのオンライン視聴者が世界229カ国・地域の計4907万人に上った。所属事務所のHYBEが16日に発表した。コンサート会場には約5万人が集まり、釜山のパブリックビューイング2カ所にも約1万2000人が足を運んだ。メンバー最年長のJINが12月に兵役の入隊期限を迎えるため、メンバー7人全員が集まる最後のコンサートになるかもしれないということと、新型コロナ禍での入場制限が緩和されたため、日本など世界中から「ARMY」と呼ばれるファンが駆けつけた。

 ネットフリックス(Netflix)を観ていても、韓国のドラマには勢いがある。次から次へとコンテンツを発信し、またそれが当たって人気を呼んでいる。最近、「梨泰院クラス」をリメイクした「六本木クラス」が高視聴率だった。日韓はいがみ合うことなく、文化交流などを通じていくらでも仲良くなれるのではないかと思うのだが。(文聖姫)

ビール大人買いの秋

 私は『麦酒とテポドン』(平凡社新書)という本を書くほど、ビール好きだ。そんな私にとって、今月からのビールの値上げは痛い。できるだけ安いうちに買いだめしようと、毎週のようにパルシステムでビールを大人買いした。庶民の考えは一緒のようで、近所の安売りスーパーは先月、ビールを買いだめする人々で溢れかえっていた。電気料金も値上げをしていて、毎月領収書を見るたび、ため息が出る。

 4日で発足1年を迎えた岸田文雄政権。安倍晋三元首相の国葬強行、自民党議員と統一教会を巡る問題、そして物価高と「三重苦」に喘ぎ、支持率は下がり続けている。『朝日新聞』が1、2日の両日に行なった世論調査では、内閣支持率は発足後最低の40%となった。逆に不支持率は50%に達したとされる。

 岸田首相は3日から始まった臨時国会の所信表明演説で、「日本経済の再生が最優先の課題」だとした。だが、国葬に莫大な国民の税金を使う首相の言葉をどうやって信じろというのか。(文聖姫)

アントニオ猪木と北朝鮮

 空手チョップで有名なプロレスラー、力道山は日本植民地時代の朝鮮半島北部で生まれた。本名は金信洛。1989年に訪朝した際、力道山の娘、金英淑さんにインタビューした。夫は体育相も務めた朴明哲氏で、当時の取材メモには、「夫が大臣クラスの人だけあって、身なりもいい」などと記されている。

 1日に79歳で亡くなった元プロレスラーで参議院議員だったアントニオ猪木さん(本名・猪木寛至)は、移住先のブラジルで力道山にスカウトされ、プロレス界に入った。そんな縁もあって、94年から2017年まで33回訪朝し、日朝国交正常化を模索し続けた。1995年には平壌の綾羅島メーデー・スタジアムで新日本プロレスの興行としてスポーツ・文化祭典も開いた。2013年11月には北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との間で自身が理事長を務めるNPO法人の平壌事務所開設で合意した。この時、約1カ月後に処刑された張成沢氏とも会談。前出の朴明哲氏は張成沢派と言われていた。(文聖姫)