編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』

 6月25日、神奈川県のかわさきゆめホールで映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』の上映会があったので行ってきた。この日は計4回上映。いずれも満席だった。小原浩靖監督のアフタートークもあった。

 興味深かったのは、早稲田大学の授業で上映が実現したという話だ。きっかけは昨年9月のポレポレ東中野での上映会に訪れた男子早大生から、「大学で上映したい」と声をかけられたことだ。その後、映画を観た女子早大生らも加わり、上映実現に動いた。そして、今年5月15日、平和学の授業で上映が実現した。履修生は163人。翌週には映画の主人公の一人、「原発を止めた」樋口英明元裁判長と小原監督が招かれ、トークセッションも行なわれたという。小原さんは映画のホームページで連載中の「監督日記」にこう記した。「原発を推進する政府の得体の知れなさは若者たちにとって、ダイレクトに将来への不安に結びついているのだと思った」。自主上映の申し込みは現在八十余件に上るという。(文聖姫)

沖縄慰霊の日

 今週号の発行日はちょうど「沖縄慰霊の日」にあたる。そこで沖縄に関する今を特集した。特集は一貫性を持たせるため、基本的にはデザインを統一するが、「誌面のギザギザは何?」と思われた読者もおられるだろう。デザイナーによれば、これは「平和の礎」を上から見た形を表しているのだそう。

 県営平和祈念公園(沖縄県糸満市)内にある「平和の礎」には、沖縄戦などで亡くなった24万人あまりの名前が、国籍や軍人、民間人の区別なく刻まれている。今年新たに365人が刻銘されることで、刻銘者は24万2046人となった。

 6月1日から23日まで、礎に刻まれた名前を読み上げるプロジェクトが実施されている。「年々、戦争体験者の声を聴く機会が減るなかで、私たちはこの新たな取り組みが戦争を知らない世代にとっても、戦没者に想いを馳せ、悲惨な戦争の実態と向き合い、平和の尊さについて学ぶ場になると確信しています」と、主催者のホームページには書かれている。(文聖姫)

お詫び

 本誌5月26日号掲載の「はまぐりのねごと」に、「レズ」という言葉が2カ所出てきます。LGBT法連合会が昨年4月に出した「LGBTQ報道ガイドライン」(第2版)で、「レズ」は「レズビアンの短縮形だが、歴史的に侮蔑的な意味合いで使われてきたため避けるべき言葉」とされています。筆者が差別的文脈でつかっているわけではありませんし、さまざまな意見があると思いますが、編集責任者としては、短縮形にすべきではなかったと考えています。不快な思いをさせた方々にお詫びします。再発防止に努めたいと思います。

◆   ◆

 難民認定の申請中でも、3回目の申請以降は外国人の送還を可能にする入管法改正案が9日、参院本会議で可決・成立してしまいました。「改正」ではなく「改悪」ともいえるトンデモ法が可決されてしまったことに憤りを感じます。この問題を追及し続けてきた本誌は今号で、ジャーナリストの樫田秀樹さんによる渾身のレポートを掲載しました。(文聖姫)

マイナ保険証

 先週号を手にとって、「あれ? なんだかいつもと違うな」と思った方も少なくないと思います。実は雑誌の紙が変わりました。これまで使っていた紙はもう生産しないということで、在庫が切れた段階で新しい紙への変更を余儀なくされたのです。でも、どうせ変えるなら「読者の目に優しいものに」ということで選びました。いかがでしょう? 前の紙と比べてあまり違和感はないと思いますが。

 選択にあたっては、東京南部読者会の方々にもご協力いただきました。私が三つの候補紙を持参し、ご意見をお伺いし、参考にさせていただきました。

 紙だけでなく、「文字をもう少し大きくしてほしい。老眼にはこたえる」などのご意見もよく届きます。こちらも今後の課題として、検討していきたいと思っております。

 さて、マイナンバー法など関連改正法が6月2日、参院で可決成立しました。相次ぐトラブルで「マイナ保険証」などへの不安が拭えない中での強行。今週号で問題点などを特集しました。(文聖姫)

憲法集会にて

 5月28日、千葉・市川憲法集会に参加し、『週刊金曜日』を販売してきました。最新号(5月26日号)、河野洋平×中島岳志対談が載った憲法特集号(4月28日・5月5日合併号)、そして坂本龍一さんの表紙が話題の4月14日号を持参しました。

「デジタルをとっているんだけど、紙もいいわね」と一冊購入してくれたり、「ちょっと前まで定期購読してたんだけどやめちゃって」という方も最新号と憲法特集号をお買い上げ。「内容が難しいのでなかなか読み切れないけど、勉強します」と言った方も。5月3日の東京・有明で開催された憲法集会での販売に参加した際にも感じたことですが、直売の良いところは読者の声を直接聞けること。読者との距離が近いことが『金曜日』の良さの一つだと改めて感じました。

 創刊30周年企画の一環として、読者モニター制度が今号から始まります。第1期は9人の読者にお願いすることになりました。どんなご意見がいただけるのか、私もいまから楽しみです。(文聖姫)