編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

ウクライナ侵攻2年

 ロシアがウクライナに侵攻してから明日で2年が経つ。今号では「終わりの見えないウクライナ戦争」を特集した。筆者の一人、丸山美和さんはポーランド在住の大学教員でジャーナリスト。先日、一時帰国中の丸山さんが弊社を訪ねてきた。彼女が持参したたくさんのおみやげの中には珈琲豆もあった。この豆には深い意味がある。ウクライナ南部黒海沿岸の都市ミコライフ在住の女性が、輸入した豆を自宅で焙煎しネットで販売しているのだという。「ミコライフはかなり危険な地域」と丸山さん。それでも彼女の夢は自分のカフェを持つことだという。ゆったりした気分で珈琲を飲めることの幸せを噛みしめた。

 特集のもう一人の筆者、『朝日新聞』論説委員の駒木明義さんも指摘するとおり、停戦の見通しは立たない。国外に逃れた人々も少なくないが、国に残って戦う兵士だけでなく、戦禍の中で日常生活を送る人々も大勢いる。でも、その日常生活は私などが決して想像できない、常に危険と隣り合わせのものだ。(文聖姫)

魔の2月

 今週は年に数回ある魔の週。校了日が月曜日と金曜日の二度あったからだ。

 普段の校了日は月曜日だけだが、11日(月曜日)が休日なので、2月16日号の校了日が前倒しされて、9日(金曜日)となったわけだ。さらに、来週も金曜日が校了日となる。23日(金曜日)が休日なので、23日号の校了日が、これまた前倒しされて16日(金曜日)になった。というわけで、この「編集長後記」も今週は2回書いた。ちなみにこの原稿を書いている今日は2月9日だ。

 読者のみなさんにとってはなんのことやら、と思われるだろうが、まぁ、とにかくしっちゃかめっちゃかな日々が続いたと思っていただければ。この号がみなさんのお手元に届く頃には、だいぶ落ち着いているはずだ。

 ということで、まだ2月が20日も残っているのに、もう月末の号を作っている。ついこの前、新年を迎えたと思ったのに、あっという間だ。なんだか慌ただしい2月も過ぎれば3月。春ももうそこまで来ている。(文聖姫)

和歌山読者会

 2月3日、和歌山に読者会が発足した。発行人・社長の植村隆と共に、第1回の会に参加した。驚いた。なんと参加者は県外の人と私たち2人を含め29人。編集長になってから、できるだけ各地の読者会にお邪魔するようにしているが、これまで参加した中では最高の人数だ。

 会やその後の懇親会で、たくさんの人と話した。本誌への期待をひしひしと感じた。課題となる話も聞いた。ある方は、「ちょっと難しい。もう少しわかりやすく」。「一つのテーマをもっと深掘りしてほしい」という意見もいただいた。どちらも実践していかなければならない。わかりやすい内容で、かつ一つの問題を深掘りすること。

「いつも本誌の読者会欄を読みながら、和歌山にもできたらええなーと思っていたから、とてもうれしかった」という元教員の方もいた。いろいろと大変なことも多い毎日だが、読者から力をもらった。『週刊金曜日』がみなさんをつなげる一つのツールになってくれれば、こんなにうれしいことはない。(文聖姫)

復興支援

 あっという間に2月だ。今年は元日に能登半島地震が起き、1月2日には被災地に向かうため羽田空港の滑走路で待機していた海上保安庁の飛行機と日航機が衝突する事故が起きた。お祝いの雰囲気は完全に吹っ飛んだ。能登半島ではいまだに安否不明者がおり、テレビ画面では倒壊したままの家屋が映し出される。被災している方々の大変さを、私はメディアを通してしか知ることができない。少しでも助けになればと、ささやかながら寄付をした。

 一方で、前に向かって進もうとする人々の姿に感動を覚える。あるテレビ番組で、被災地の現場をルポしていた。寒ブリ漁が最盛期ということだが、金沢経由で全国に発送されるという。家族と離れて被災地に残るカキの養殖業を営む若い男性、復興に少しでも役立てればと、やはり家族と離れて被災地に残る大工……。能登産の食材を購入したり、こういう時だからこそぜひ金沢の旅行を楽しんでほしい、それが復興支援につながる、というリポーターの言葉が心に響いた。(文聖姫)