編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

ケイト・ブランシェット

 ケイト・ブランシェットは好きな俳優の一人だ。「エリザベス」の演技は圧巻だったし、彼女が出演する「ロード・オブ・ザ・リング」は50回は見た。そのブランシェットが今年のカンヌ映画祭で見せたパフォーマンスにはしびれた。全面黒色、バックサイドが白色のオフショルダードレスで現れたブランシェットは、レッドカーペット上でドレスの裾を手で引き上げた。そこに現れたのは深緑色の裏地。黒と白、緑と赤の色彩は、見る人にパレスチナの国旗を思い浮かばせるものだった。即時停戦を呼びかけたのだ。

 イスラエルの侵攻によって、ガザの民間人らが殺害されているだけでなく、食糧を含む物資が搬入できないために飢餓に苦しむ人々が後を絶たない。子どもたちが少ない食糧に群がる姿を見ると胸が痛む。

 今号でもガザ問題を特集した。そして、ガザと同じく戦争によって民間人を含む犠牲が続くウクライナ。今年現地を訪れたジャーナリスト、先川信一郎さんの現地ルポ連載が始まる。(文聖姫)

文在寅と金正恩

 韓国の文在寅前大統領が今月回顧録を出版した。5月19日に配信された『毎日新聞』電子版の記事によると、金正恩・朝鮮労働党総書記は2018年4月に板門店であった文氏との首脳会談で、核・ミサイル開発に対する国連の経済制裁が「正直に言って、きつい」と語っていたという。「経済を発展させることが自分にとって最も重要な課題なのに、制裁のせいで難しい」と。確か当時、文氏は金氏に、南北経済協力の青写真を示した。板門店では二人っきりで話す場面もあった。そこで何が話し合われたのかは明らかにされていないが、おそらく経済問題について突っ込んだ話し合いがなされたのではないだろうか。

 その後、文氏が平壌を訪問するなど、南北関係は改善した。史上初の米朝首脳会談も実現した。そのまま関係改善が進んでいれば、金氏も核・ミサイルを放棄し、「経済を発展」できたはずだ。だが、米朝首脳会談決裂で再び膠着状態に。金総書記は韓国を「第1の敵国、不変の主敵」と表明するに至った。(文聖姫)

2024憲法大集会

 5月3日、東京・江東区の有明防災公園で開催された2024憲法大集会に行ってきました。憲法特集を掲載した最新号をはじめとする本誌や金曜日オリジナルの憲法Tシャツ、新刊の『増補版ひとめでわかるのんではいけない薬大事典』などの販売をするためです。スタッフ7人とともに、朝10時から午後4時頃まで店頭にたちました。

 この日は快晴とあって、昨年より7000人多い3万2000人の参加者(主催者発表)があったせいか、弊社のブースにも大勢の方々が足を止めてくださいました。私が店頭で最新号を持って宣伝をしていると、「これください」と言ってくれた方や「定期購読者です」と声をかけてくださる方もいました。「経営が大変なんでしょ? 金曜日がなくなっちゃうといけないわよね」と言って買ってくださる方も。励みになりました。「コロナワクチンの弊害についてきちんと報道して」というお叱りも受けました。日頃は直に接することのない読者と触れ合う絶好の機会。来年も行くつもりです。(文聖姫)

自民党への「ノー」

 自民党のおごり高ぶりに有権者は「ノー」を突きつけた。4月28日に行なわれた衆議院補欠選挙は、東京15区、島根1区、長崎3区のいずれも立憲民主党の候補者が勝利した。自民党は候補者擁立を見送った選挙区を含むすべてで議席を喪失した。

 保守王国として知られる島根でも立憲の元議員、亀井亜紀子氏(58歳)が早々と当選を決め、東京15区では過去最多の9人による争いを勝ち抜いた立憲の新人、酒井菜摘氏(37歳)が当選した。長崎3区では日本維新の会候補と一騎打ちの末、立憲の前議員、山田勝彦氏(44歳)が当選した。本誌4月12日号は「衆議院3補選の結果次第では、岸田政権の崩壊が見えてくる」と解説していた。さて、今後の展開はどうなるか。東京15区では、乙武洋匡氏(48歳)の結果が振るわなかったことも話題に。応援した小池百合子東京都知事の影響力にも陰りが見える。

 今号の校了日は5月2日です。連休中の出来事は5月17日号以降の掲載になることをご了承ください。(文聖姫)