編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

ケイト・ブランシェット

 ケイト・ブランシェットは好きな俳優の一人だ。「エリザベス」の演技は圧巻だったし、彼女が出演する「ロード・オブ・ザ・リング」は50回は見た。そのブランシェットが今年のカンヌ映画祭で見せたパフォーマンスにはしびれた。全面黒色、バックサイドが白色のオフショルダードレスで現れたブランシェットは、レッドカーペット上でドレスの裾を手で引き上げた。そこに現れたのは深緑色の裏地。黒と白、緑と赤の色彩は、見る人にパレスチナの国旗を思い浮かばせるものだった。即時停戦を呼びかけたのだ。

 イスラエルの侵攻によって、ガザの民間人らが殺害されているだけでなく、食糧を含む物資が搬入できないために飢餓に苦しむ人々が後を絶たない。子どもたちが少ない食糧に群がる姿を見ると胸が痛む。

 今号でもガザ問題を特集した。そして、ガザと同じく戦争によって民間人を含む犠牲が続くウクライナ。今年現地を訪れたジャーナリスト、先川信一郎さんの現地ルポ連載が始まる。(文聖姫)