編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

アンチヒーロー・ロス

 日曜日の楽しみがひとつ減ってしまった。TBSドラマ「アンチヒーロー」が最終回を迎えたからだ。「私があなたを無罪にして差し上げます」。長谷川博己演じる主人公の明墨正樹弁護士の決めぜりふである。そして、彼は殺人犯を実際に無罪にしてしまう。しかし、それはある死刑囚の冤罪をはらし、再審を勝ち取るためだった。最終回は怒涛の展開。これまでの伏線回収も済み、後味もよかった。すでに続編を望む声が出ているそうだが、私もその一人。「アンチヒーロー・ロス」に陥っている私としては、TBSさんにぜひ続編をお願いしたい!

 ドラマが冤罪を真正面からとらえていたのも印象的だった。袴田事件、飯塚事件、そして最近では大川原化工機事件など、冤罪によって人生を狂わされた人は少なくない。飯塚事件で犯人とされた久間三千年さんは、死刑が執行されてしまい、遺族である妻が再審請求を行なっている。犯罪者でないのに犯罪者にされる。そんなことは絶対あってはならない。(文聖姫)