編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

総長カレー

 今週号の「編集長が行く」にご登場いただいた尾池和夫さんをインタビューしたのは今月6日、本社応接室においてだ。ちょうど東京に用事があるという尾池さんに、用事の前に立ち寄っていただいた。その際、おみやげにレトルトの「総長カレー」を、京大生協でわざわざ購入してきてくださった。カレー誕生の経緯についてはインタビューをお読みいただきたいが、カレーの箱の裏にはこうある。「……その味はまさに本格派!香味野菜と9種類の香辛料(ローリエ、クローブ、カルダモン、シナモン、コリアンダー、ターメリック、クミン、唐辛子、マスタード)とトマトで仕上げたスパイシーなソースに、りんご・バナナで甘みを、ココナッツミルクでコクを加えた、風味豊かな本格派ビーフカレーです」。読むだけでよだれが出てくる。

 実はまだカレーを食していない。インタビューを校了するまでは、何か確認事があるかもしれないと思ったからだ。無事校了を終えたこの週末に、じっくり味わいたいと思う。(文聖姫)

立憲民主党代表選と自民党総裁選

 先週号では民主党の米大統領候補、カマラ・ハリス氏を中心に米大統領選について特集したが、今号の特集は日本の立憲民主党代表選と自民党総裁選である。自民党総裁選は9月27日が投開票日だ。立憲民主党代表選は一足早く23日に投開票が行なわれる。「敗戦の日」の前日に岸田文雄首相が総裁選不出馬を突如表明したことによって、自民党では次々に候補者が名乗りをあげた。結果的に20人の推薦人を確保できた9人が立候補した。いろいろと公約を並べているが、国民が最も怒っている「裏金問題」については歯切れが悪い。統一教会問題もしかり。結局、自民党得意の「党内政権交代」ではぐらかそうとしているのではないか。

 一方の立憲民主党は4人が立候補した。なかでも目を引くのは当選1回の吉田晴美・衆議院議員である。1年生議員が代表選に挑戦することで、永田町の常識を覆したと言われるが、彼女のチャレンジは永田町に「新風」を吹かせるか。本誌ならではの特集となっています。(文聖姫)

カマラ・ハリス

 2020年11月13日号の本誌の表紙もカマラ・ハリス氏の顔写真だ。タイトルは「ハリスが変える歴史」。民主党のバイデン大統領が勝利し、ハリス氏が女性初の副大統領となった。大統領に継ぐ2番目に高くて堅い「ガラスの天井」を破ったわけだ。4年後、高齢のバイデン氏が再出馬しなければ、ハリス氏が初の女性大統領候補になるかもしれない。当時はそんな期待もささやかれていた。だが、副大統領としてのハリス氏の手腕が聞こえてくることはあまりなく、むしろ「移民政策での失敗」などが指摘されていた。今年、バイデン大統領は自ら再出馬した。だが、トランプ氏とのテレビ討論対決は精彩を欠いていた。記者会見ではこともあろうにゼレンスキーをプーチンと間違え、誰が見ても「大丈夫か」となった。

 今号の特集は「カマラ・ハリス」。表紙タイトルは「ハリスは歴史を変えるか」。米国で初の女性大統領が誕生すれば、歴史は変わる。一方で、ガザへの対応などは内外から批判を浴びる。そうした問題も取り上げた。(文聖姫)

本多勝一さん退任にあたって

 本多勝一さんの『中国の旅』を初めて読んだのは、確か大学生の頃だったと思います。父の書棚にあった本を何気なく取ったのですが、読んで衝撃を受けました。それから、本多さんの本を片っ端から読みました。『アメリカ合州国』、『戦場の村』など。父のコレクションでは足りず、『貧困なる精神』シリーズは自分で買い足しました。そして、私は本多さんのようになりたいと思い、進路を新聞記者に定め、朝鮮総聯(在日本朝鮮人総聯合会)の機関紙『朝鮮新報』の記者になりました。縁あって本多さんらが創業した『週刊金曜日』の編集長を務めさせていただいたことを、大変誇りに思います。

 本多さんは今号をもって本誌編集委員を退任されます。三十数年前に本多さんらが本誌を立ち上げた頃とは、新聞、雑誌などマスコミを取り巻く環境は様変わりしました。しかし、ジャーナリズム精神はその頃と変わっていないと確信します。今後も本多さんのジャーナリズム精神を受け継ぎ、本誌をより良いものにしていく決意です。(文聖姫)