編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

カマラ・ハリス

 2020年11月13日号の本誌の表紙もカマラ・ハリス氏の顔写真だ。タイトルは「ハリスが変える歴史」。民主党のバイデン大統領が勝利し、ハリス氏が女性初の副大統領となった。大統領に継ぐ2番目に高くて堅い「ガラスの天井」を破ったわけだ。4年後、高齢のバイデン氏が再出馬しなければ、ハリス氏が初の女性大統領候補になるかもしれない。当時はそんな期待もささやかれていた。だが、副大統領としてのハリス氏の手腕が聞こえてくることはあまりなく、むしろ「移民政策での失敗」などが指摘されていた。今年、バイデン大統領は自ら再出馬した。だが、トランプ氏とのテレビ討論対決は精彩を欠いていた。記者会見ではこともあろうにゼレンスキーをプーチンと間違え、誰が見ても「大丈夫か」となった。

 今号の特集は「カマラ・ハリス」。表紙タイトルは「ハリスは歴史を変えるか」。米国で初の女性大統領が誕生すれば、歴史は変わる。一方で、ガザへの対応などは内外から批判を浴びる。そうした問題も取り上げた。(文聖姫)

本多勝一さん退任にあたって

 本多勝一さんの『中国の旅』を初めて読んだのは、確か大学生の頃だったと思います。父の書棚にあった本を何気なく取ったのですが、読んで衝撃を受けました。それから、本多さんの本を片っ端から読みました。『アメリカ合州国』、『戦場の村』など。父のコレクションでは足りず、『貧困なる精神』シリーズは自分で買い足しました。そして、私は本多さんのようになりたいと思い、進路を新聞記者に定め、朝鮮総聯(在日本朝鮮人総聯合会)の機関紙『朝鮮新報』の記者になりました。縁あって本多さんらが創業した『週刊金曜日』の編集長を務めさせていただいたことを、大変誇りに思います。

 本多さんは今号をもって本誌編集委員を退任されます。三十数年前に本多さんらが本誌を立ち上げた頃とは、新聞、雑誌などマスコミを取り巻く環境は様変わりしました。しかし、ジャーナリズム精神はその頃と変わっていないと確信します。今後も本多さんのジャーナリズム精神を受け継ぎ、本誌をより良いものにしていく決意です。(文聖姫)