編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

本多勝一さん退任にあたって

 本多勝一さんの『中国の旅』を初めて読んだのは、確か大学生の頃だったと思います。父の書棚にあった本を何気なく取ったのですが、読んで衝撃を受けました。それから、本多さんの本を片っ端から読みました。『アメリカ合州国』、『戦場の村』など。父のコレクションでは足りず、『貧困なる精神』シリーズは自分で買い足しました。そして、私は本多さんのようになりたいと思い、進路を新聞記者に定め、朝鮮総聯(在日本朝鮮人総聯合会)の機関紙『朝鮮新報』の記者になりました。縁あって本多さんらが創業した『週刊金曜日』の編集長を務めさせていただいたことを、大変誇りに思います。

 本多さんは今号をもって本誌編集委員を退任されます。三十数年前に本多さんらが本誌を立ち上げた頃とは、新聞、雑誌などマスコミを取り巻く環境は様変わりしました。しかし、ジャーナリズム精神はその頃と変わっていないと確信します。今後も本多さんのジャーナリズム精神を受け継ぎ、本誌をより良いものにしていく決意です。(文聖姫)